AIモデルのベンチマーク比較サイトを運営するArtificial Analysisの発表によれば、「DeepSeek V3」は現在、OpenAIやGrok、Googleを抑えて非推論モデルのトップに立った。同ベンチマークでは推論力、知識、数学、コーディングといった項目を評価した。
もちろん、競争は加熱しており、順位はすぐに入れ替わる可能性もある。一方、今回初めて「オープンウェイト」のモデルが首位となったことも特筆すべき点だ。このオープンウェイトとは「DeepSeek V3が完全にオープンソース化されていて、モデルの全容がユーザーに公開されている」ということだ。OpenAIは「オープン」という名は冠しているが、ChatGPTのトレーニングの詳細やモデルのアーキテクチャは非公開を貫いている。
もっとも、V3はいわゆる「推論」AIモデルではないので、そこまで強力ではない。一方で動作が高速で、コストも安く、多くの場面で使いやすいというメリットがある。
DeepSeek V3は2024年12月に登場したが、今回のベンチマーク結果によって、米国のAI企業をさらに脅かす存在であることが確かめられた。DeepSeekは2025年初めにR1という推論モデルを無料公開している。これは、回答を出す前に再帰的にチェックを行う高レベルの推論モデルとしては初めて大衆に解放されたケースだった。さらにDeepSeek R1は低コストで動作するという点でも注目を集めている。
ただ、推論型のAIモデルは大規模データを扱う研究向きで、非推論のモデル(GPT-4.5やGoogle Gemini 2.0)と比べると一般の用途には向いていない。だが、非推論は高速で安価に運用できるため、多くのタスクで実用的だ。DeepSeek V3の台頭は、中国のAI企業がオープンソースを武器に、米国企業と十分に戦えることを示している。
こうした中国の脅威に対抗するため、OpenAIはトランプ政権に対して著作物を利用した学習の制限を撤廃するように求めている。フェアユースの制限が続けば、米国のAI企業は中国に対抗できなくなると主張している。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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