楽天グループは2月14日、2024年度 第4四半期および通期の連結業績を発表した。通期では全セグメントが増収、IFRS営業利益では5年ぶりとなる通期連結黒字化を実現したものの、最終損益は赤字が続いた。
2024年度通期の連結売上高は前年同期比10.0%増の2兆2792億円で、過去最高を記録した。Non-GAAP営業利益は前年同期比で1601億円改善の70億円、IFRS営業利益は同2658億円改善の530億円と、いずれも2019年度以来5年ぶりの黒字。一方、繰延税金資産の一部取り崩しなどが影響し、最終損益は1624億円の赤字となった。
セグメント別で業績を見ると、インターネットサービスの売上高は前年同期比5.8%増の1兆2821億円、Non-GAAP営業利益は同29.8%増の851億円。国内EC事業の成長に加え、インターナショナル部門のメッセージングアプリ「Rakuten Viber」、電子書籍サービス「Rakuten Kobo」が好調な収益を記録した。
フィンテックセグメントでは、売上高が前年同期比13.1%増の8204億円、Non-GAAP営業利益は同37.9%増の1534億円と増収増益。楽天カード、楽天銀行、楽天証券の各事業で顧客基盤が拡大し、取扱高が増加したという。
モバイルセグメントでは、売上高は前年同期比20.9%増の4407億円、Non-GAAP営業損失は前年同期比1056億円改善の2089億円となった。なお、楽天モバイルとしては2024年12月、単月ベースでのEBITDA黒字化を達成したとしている。
楽天グループは2025年度の目標として、連結Non-GAAP営業利益の黒字拡大と楽天モバイルのEBITDA通期黒字化を掲げている。また、AIを活用した効率性改善プロジェクト「トリプル20」を推進し、さらなる利益創出を目指すという。
楽天グループ 代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史氏は、グーグルやアマゾンといった「ハイパースケーラー」をどう捉えているかについて、「(楽天グループの海外施策としては)エコシステムとしての国際展開と、楽天シンフォニーを中心とするITプラットフォームという2つの見方がある。1つ目のエコシステムとしての展開では、Viberが東ヨーロッパやベトナム、フィリピンで、Koboはカナダやヨーロッパ、台湾などで調子がよく、かなり大きな利益が出ている。今はまだ点と点だが、線で結んで着実に収益化させ、海外における楽天の会員ビジネス的な発展で成長させていく。われわれのモデルはグーグルやアマゾン、アップルなどもまだやっておらず、通用するはず。そのためにもポイント施策などにとどまらず、AIを活用して高いユーザーエクスペリエンスを提供し、さまざまなサービスを包含したコンシューマービジネスを展開する」と語る。
「2つ目のシンフォニーはワイヤレスネットワークの国際展開というビジネスだが、いずれもハイパースケーラーに対抗するというよりも、ハイパースケーラーがやってない、できないところで新しい形のハイパースケールを目指す。この2つの戦略を追求していきたい」と続けた。
また、単月黒字を達成した楽天モバイルについて「とにかくまず、1000万件の契約獲得を目指す。そのための戦略として、シェアが比較的に低い60代以上と、都市部以外の地方を戦略的に強化していく。また、ソフトウェアの外販は楽天グループの根幹事業になる可能性もある。強化していきたい」(三木谷氏)と話した。
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