日本初の月面着陸を撮影したSORA-Q 「やった感」で終わらない異業種連携の実例に

 日本初の月面着陸を実現した「SLIM」を撮影した世界最小の変形型月面ロボット「SORA-Q」。JAXAとタカラトミー、ソニー、同志社大学の4者による共同開発チームは、第7回日本オープンイノベーション大賞の最高賞である内閣総理大臣賞を受賞した。

「日本初の月面着陸」を撮影したSORA-Q(LEV-2) 「日本初の月面着陸」を撮影したSORA-Q(LEV-2)
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 SORA-Q(正式名称:Lunar Excursion Vehicle 2、LEV-2)は、直径約78mm、質量228gという世界最小・最軽量の変形型月面ロボットだ。タカラトミーの玩具技術、同志社大学の小型ロボット開発技術、ソニーのIoTデバイス、イメージセンサ、画像処理技術をJAXAの宇宙関連技術と融合させることで実現した。

オープンイノベーションの概要 オープンイノベーションの概要
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 同機は、日本初の月面着陸を果たした月探査機「SLIM」の子機として打ち上げられた。月面着陸直前にSLIMから月面に放出され、世界初となる完全自律制御による月面探査を成功させ、SLIMの着陸状態や周辺環境の画像を撮影し地球に送信した。これにより、日本初の月面着陸ミッションに大きく貢献した。

SORA-QのCG SORA-QのCG
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 JAXA宇宙探査イノベーションハブの平野大地主任研究開発員は、「異分野とのコラボレーションと共同創造の結果であり、宇宙探査技術の革新と地上ビジネスの振興を目指すJAXA宇宙探査イノベーションハブの取り組みが実を結んだ瞬間だと感じています」とコメントした。

 一方で、異業種連携のオープンイノベーションの取り組みでは、イベントの開催やPoC(概念実証)の実施だけが強調され、実用化には至らないことも多い。しかし、SORA-Qの開発では、タカラトミー、ソニー、同志社大学がJAXAと連携し、それぞれの強みを活かして実際の宇宙ミッションで成果を上げた点が特徴的だ。単なるアイデア創出や共同開発の枠を超え、日本の宇宙探査の歴史に残る成果へと結びついた。

 タカラトミーのSORA-Qプロジェクトリーダー赤木謙介氏は、「100年受け継いできた玩具作りの技術が、レゴリスに覆われ動きにくい月面下での探査活動と、日本初の月面着陸に成功したSLIMの撮影に貢献できたことを大変うれしく思う」と語った。

 ソニーグループの永田政晴氏は、「IoT用ボードコンピュータSpresenseを活用し、月面ロボットの制御システムおよび画像処理技術の開発を主導した」と同社の貢献を強調した。

 同志社大学教授の渡辺公貴氏は「共に挑戦を続けてきたパートナー企業や関係機関の皆さまの多大なるご支援とご協力の賜物」と述べた。

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