ハイエンドのAndroidスマートフォンの多くが搭載しているSoC(CPUやGPU、メモリなどを1つの半導体に統合したチップ)といえばクアルコムのSnapdragonだが、同チップに新バージョン「Snapdragon 8 Elite」が登場した。
先代の「Snapdragon 8 Gen3」から飛躍的な性能向上を果たした点が特徴。シャオミが10月末に発表する「Xiaomi 15」シリーズを筆頭に、各社から搭載スマートフォンが登場する予定だ。
Snapdragon 8 Eliteの最大の特徴は、PC向けの「Snapdragon X Elite」と同じ「Oryon CPU」を搭載する点だ。同SoCはインテルやAMDの既存チップを性能で圧倒すると話題を集めた。
Oryonは、過去にAppleでプロセッサの開発を率いたGerard Williams氏(後にクアルコムに移籍)が中心となって開発したCPUだ。AppleのMacBookシリーズに搭載されるMシリーズプロセッサの対抗として開発されたが、今回は同CPUがスマートフォンに搭載されることになった。
「性能面で数世代分の飛躍」──。発表会場でクアルコムはそう胸を張った。久々に性能向上がアピールされたスマートフォン向けプロセッサとなった。
これを実現したのが、3nmプロセスへの微細化と、3nmプロセスで製造された第2世代Oryon CPUの搭載だ。
具体的には、先代のSnapdragon 8 Gen3比でCPU性能がシングルスレッド、マルチスレッドともに45%向上した。さらに、GPU性能も40%向上し、オンデバイスのAI処理に直結するNPU性能も45%増しとなった。かつエネルギー効率も27%向上したという。
こうした性能向上で実現するのがクオリティの高いゲーム体験、コンピュテーショナルフォトグラフィーの強化、そしてオンデバイスAIのさらなる強化だ。
「オンデバイスの生成AIにはキラーアプリがない」。そうした見方について、クアルコムでCEOを務めるクリスティアーノ・アモン氏は「スマホの登場時にキラーアプリがあったか」と一蹴する。
クアルコムは将来のスマートフォンについて、現在の「アプリ中心」から「AIエージェント中心」に変化すると予測する。ユーザーがスマートフォン上でAIエージェントを選び、そのAIエージェント経由でさまざまなタスクを実行するという形だ。
この実現にはオンデバイスで動作する高速なAIアシスタントが必要で、スマートフォンの性能向上は今後も求められる。
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