キャッシュレス決済の巨塔、PayPayと楽天ペイが相次いで学園祭に注力している。若年ユーザーの拡大というわかりやすい狙いの背景にはどのようなことがあるのか。
学園祭といえば、大規模なものでは事前に金券を購入して、それと引き換えに飲食物などを手に入れるイメージだ。また、直接現金でやりとりする場合も含め、現金の管理やおつりの手間だけでなく、精算や集計の手間もかかる。これをキャッシュレス化すれば、運営する学生や教員の負担が大幅に減るというわけだ。
実際にキャッシュレス学園祭を導入した神奈川県立横須賀高校の事例では、売上に占めるPayPay決済の比率は97%に達した。PayPayアプリを持っていない人には、窓口で金券を購入してもらう措置を講じた。
また、楽天ペイでは学校向けにオールインワン決済端末「楽天ペイ ターミナル」の導入を開始した。これによって、楽天ペイのコード決済だけでなく、クレジットカードや電子マネーの利用にも対応した。端末にはモバイル通信とWi-Fi機能を備え、レシート印刷も可能だ。さらに、横浜隼人中学・高等学校の事例では、楽天ペイのダウンロード専用ブースも設けた。
なぜPayPay、そして楽天ペイが相次ぎ学園祭に注力しているのか。この問いを考えるうえで見逃せないのが「キャッシュレス決済があらゆる金融サービスへの入口になっている」ということだ。
PayPayの先には「PayPay銀行」や「PayPay証券」が、楽天ペイの先には「楽天銀行」「楽天証券」がある。また、自社ポイントを通じてそれぞれの経済圏と表裏一体だ。この経済圏にいかに若年層を取り込むかが今後のシェア拡大のキーとなる。学園祭はそのためのわかりやすいタッチポイントというわけだ。
また、両社は学園祭に注力する理由について「ユーザー拡大」とあわせて「学生の金融リテラシー向上」を掲げた。学生がキャッシュレス決済を通じた消費者と事業者の関わり方を学生が実体験できるという、貴重な学びの場であるという認識だ。
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