LIFULL HOME’Sが「おとり物件」の実態調査を発表--自動非掲載処理で対策も進める

 LIFULLは2月15日、「おとり物件」の現状に関する発表会を開催。不動産仲介業務担当者を対象としたおとり物件への課題感や、おとり物件への対応に関する実態調査の発表を行った。

左から、LIFULL HOME’S事業本部事業支援室事業支援ユニット情報審査グループでグループ長を務める宮廻優子氏、LIFULL HOME’S事業本部でエグゼクティブアドバイザーを務める加藤哲哉氏
左から、LIFULL HOME’S事業本部事業支援室事業支援ユニット情報審査グループでグループ長を務める宮廻優子氏、LIFULL HOME’S事業本部でエグゼクティブアドバイザーを務める加藤哲哉氏

 「おとり物件」とは、不動産ポータルサイトなどに入居者募集の広告が掲載されているものの、存在しない物件、あるいは存在するが取引対象にならない、取引の意思がない物件のこと。サイト上で気に入って問い合せをした物件がおとり物件だった場合、それまでのリサーチにかけた時間や、不動産会社への訪問が無駄になり、住み替え希望者にとっての負担になってしまうだけでなく、不動産業界への信用喪失にもつながりかねない。

 LIFULL HOME’S事業本部でエグゼクティブアドバイザーを務める加藤哲哉氏によると、各事業者のコンプライアンス意識の向上により、不動産業界全体では、おとり物件の件数は年々減少傾向にあるという。しかし、仲介業務担当者の9割は、いまだにおとり物件を不動産業界の課題として認識している。加藤氏は「架空の物件など悪質なものはほぼ聞かなくなったが、売約済みの物件など、実際には取引の対象になり得ない物件がサイト上に掲載され続けてしまい、意図せぬおとり物件となってしまうことはある」とし、不動産会社も確認頻度を増やすなどの対策を講じているが、人手の担保などシステム以外の改善に頼っていることが多いと説明した。


 「賃貸検索利用者の46.8%がおとり物件に遭遇した経験があり、消費者からも正確な物件情報の提供が求められている。しかし人手不足などにより、募集が終了した物件の取り下げまで1日以上の期間を要しているとする回答が半数を超えた」(加藤氏)



 続いて、LIFULL HOME’S事業本部事業支援室事業支援ユニット情報審査グループでグループ長を務める宮廻優子氏は、LIFULLがおとり物件を撲滅するために行っている取り組みを説明した。宮廻氏は「不動産会社はおとり物件に対して課題意識を持っており、対策も講じているが、各社に対応を委ねるだけでは限界がある。管理会社、仲介業者、不動産ポータルサイトなど業界全体で連携を強化し、企業の枠を超えて横断的に取り組む必要がある」とし、管理会社の管理物件情報を活用した自動非掲載機能で特許を取得したと発表。従来は仲介業者による広告削除を待たなければならなかったが、成約済みの物件や申し込み済みの物件を、LIFULL HOME’Sのサイト上から自動で非掲載処理できるとした。

 また、複数の不動産会社が非掲載処理した物件と同一物件を「募集終了の可能性が高い物件」として検知し、自動で非掲載処理を行うシステムも稼働させているという。


 「自社開発AIによるおとり物件検知についても、精度検証を実施している。精度は年々向上しており、将来的には自動化させる想定。物件の検索結果に更新時間を表示するなど、今後も鮮度の高い物件情報を消費者に提供していきたい」と、宮廻氏は展望を語った。

プレスリリース

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