人生において確実なことがいくつかある。死や、税金の納期限などだ。だが、「CES」にロボットが出展されることもまた間違いのない事実だ。筆者は、ラスベガスで開催されるこのテクノロジー見本市で長年にわたって数多くのロボットを見てきた。「Cards Against Humanity」というカードゲームや卓球で対戦したこともある。そうした出来事は、筆者にとっていつでもCESのハイライトだった。
期待通り、「CES 2024」にはロボットが大挙して戻ってきた。中には、個性という要素を持つものもある。その個性は、顔に表れていることが多かった。また、1種類の仕事ができるだけの小型自律ロボットもあった。微笑ましいのは、われわれが会場を動き回りながら口にしている食べ物や飲み物を、多くのロボットが作っていることだ。これらのカウンターに備え付けられたマシンをロボットと呼ぶならば、ロボットの定義とは、という疑問が浮かぶかもしれない。しかし心配は無用だ。この疑問には「CES 2017」の時点ですでに答えが出ている。
残念なこともある。これまでCESで見てきたロボットの大半は、イベント会場から外の世界に飛び出したことがない。もちろん、われわれの家庭に入ってきたこともない。しかし、ここ数年で人工知能(AI)が飛躍的に進歩したことを目の当たりにすると、家庭用ロボットも展示会場から飛び出してくるのではないかと希望がわいてくる。AIは、ロボットなどの自律マシンが機能するのになくてはならないもので、AIがさらに進化すれば、芝を刈ったり床に掃除機をかけだりするだけにとどまらず、それ以上のことが可能なロボットが誕生するかもしれない。
ここではCES 2024で披露された最新のロボットを紹介しよう。
自分の愛犬ほどかわいい存在などもちろんない。しかし、Ogmen Roboticsの愛犬用コンパニオンロボット「ORo」は、そのおどけた顔つきと雪だるまのような体型で、愛嬌のある姿をアピールしている。
自宅を留守にする間、双方向の音声と動画で愛犬を見守り、コミュニケーションが取れるだけでなく、ORo自ら愛犬と一緒に遊んだり、おやつを与えたりできるほか、その犬について学習することで、元気がなかったり落ち着きがなかったりする兆候を見分けられる。愛犬の分離不安を心配している人や、お金で買える最高のものを揃えてあげたいという人は、近くこのロボットを799ドル(約11万6000円)で購入できるようになる。
オフィスであれ自宅であれ、コンピューターを使う仕事は時に孤独な作業ともなる。そんなとき、ディスプレイの上に小さな友だちがいて、いつでも必要なときに笑顔を投げかけてくれる姿を想像してみてほしい。かつて「Microsoft Office」で表示されたアシスタントのキャラクター「クリッピー」が、21世紀に現実のものとなったとでも言うべきか。
LenovoのMagic Bay Robotはまさにそれだ。はっきり言って、現時点ではそれ以外のことはあまりできない。LenovoがCESで披露したこの小さなウェブカメラ型ロボットは、概念実証の意味合いが強く、AIスキルを搭載すれば将来はコンパクトなパーソナルアシスタントにもなる可能性を示している。これは素晴らしいアイデアであり、「CES 2025」でのさらなる進化を期待したい。
サムスンの「Ballie」がCESに戻ってきたのは驚くことではない。「CES 2020」で最初に登場したBallieは、何年か姿を見せなかったが、プロジェクターを内蔵した新たな姿で戻ってきた。
Ballieはコンパニオンロボットであり、警備員でもある。車輪がついているため、家の中でユーザーの後をついて回り、カメラを使って姿勢を分析したり、搭載されているプロジェクターでコンテンツをストリーミングしたりできる。明るい黄色の本体は、可愛らしいが、ユーザーがこの小型のロボットに足を引っかけないよう目立たせる目的もある。
ここで大きな疑問は、サムスンがこの可愛い小型ホームロボットを記者会見で発表するだけの試作品にとどめるかどうかだ。現時点ではBallieの価格も発売日も明らかにされていないため、あまり期待しないほうがいいかもしれない。
今年サムスンがCESで発表したロボットは(それがいちばん面白かったとしても)Ballieだけではない。非常に実用的な「Bespoke Jet Bot Combo」は床拭きもできる掃除機ロボットで、人間はソファから立ち上がる必要すらなく、こぼした赤ワインを掃除してくれる。
AIを活用した障害物認識機能を搭載し、どこに行くべきか、行くべきでないかを判断する。階段を落ちたりせずに掃除ができるとサムスンは約束している。この独立型掃除ロボットは素晴らしいと思った。
ほとんどのロボットは屋内で活動するため、風雨などの自然環境に対して脆弱だ。しかし、屋外で作業できるよう、より頑丈に作られたロボットもある。
それが「Yarbo」だ。モジュール式のロボットで、雪かきや落ち葉を吹き飛ばす作業を人間の代わりにやってくれる。各種のアタッチメントを装着することで、屋外でのさまざまな作業をこなしてくれるため、その様子を窓越しに温かいコーヒーを楽しみながら眺めていられる。当然ながら、そのようなぜいたくは安価でできるわけではない。本体は4499ドル(約65万円)で、アタッチメントの価格は1499ドル(約22万円)から2459ドル(約36万円)となっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス