オルビック、遅れていたスマホ等の発売を告知--なぜ遅れたのか、独占インタビュー

 米国のモバイルデバイスブランド「Orbic」 (オルビック)の日本法人であるJapan Orbicは、発売が遅れていたスマートフォン「Orbic FUN+ 4G」を9月13日から、タブレット「Orbic TAB8 4G」を9月22日から、国内の量販店、MVNO、オンラインストア各社でそれぞれ販売開始することを明らかにした。タフネスモデルのタブレット「Orbic TAB10R 4G」は、10月以降の発売が予定されている。

 6月に日本市場への参入を発表したOrbic。国内メーカーの撤退が相次ぐ中で、米国発のモバイル通信機器メーカーの新規参入は注目を集めたが、6月中に予定されていた発売開始時期は大きくずれ込み、SNS等での告知もストップしたままとなっていた。

6月に開催された発表会で製品を手にするアダモポウロス氏(中央)と島田氏(右)
6月に開催された発表会で製品を手にするアダモポウロス氏(中央)と島田氏(右)

 一体何があったのか。Japan Orbic社長のダニー・アダモポウロス氏と、ビジネス・ディベロップメント・マネージャーの島田日登美氏を取材した。

独占インタビュー--変更点や今後の方針は

――当初の予定から発売日が大きくずれ込みましたが、率直に何があったのですか?

島田氏:取引先との契約もあって詳しいことは言えないのですが、サプライチェーンに問題が生じ、発売が遅れました。期待を寄せていただいた日本の皆さまには、お待たせして本当に申し訳ありません。われわれとしても出鼻をくじかれる格好となったのですが、スケジュールがずれたことで販売店さんとの調整も必要となり、結果として長くお待たせすることになってしまいました。

アダモポウロス氏:よりベストな状態でお届けできるように、この間にハードウェアの調整と、ソフトウェアについてもいくつかのアップデートを行いました。Orbicとしては初めての市場ということもあって、想定よりも時間がかかりましたが、ようやく準備が整いました。私たちは今、新たなスタートにとても興奮しています。

日本だけでなくグローバルのセールス&オペレーションを担当するアダモポウロス氏
日本だけでなくグローバルのセールス&オペレーションを担当するアダモポウロス氏

――ターゲットや価格、販売方法などに、変更はないのでしょうか?

アダモポウロス氏:「Orbic FUN+ 4G」と「Orbic TAB8 4G」はエントリーユーザー向け、「Orbic TAB10R 4G」はビジネスユーザー向けと考えていて、ターゲットに変更はありません。価格についても6月に発表したとおりです。スマートフォンのFUN+ 4Gは2万4800円、TAB8 4Gは2万7800円、TAB10R 4Gは3万9800円を想定しています。

 実はこの間に円安が進み、為替はより厳しい状態になってしまったのですが、他国市場で同じ製品を展開することによるスケールメリットで、なんとか耐えています。日本の消費者は、世界の他の消費者と同じように、手頃な製品を求めていると思います。その点において、競争力のある製品だと自負しています。

島田氏:FUN+ 4は、極力無駄を省いたシンプルなスマートフォンです。エントリーユーザーや2台目需要も見込んでいますが、4Gモデルということもあり、どちらかというと法人市場でニーズのある製品だと考えています。

 タブレットについても、この間にいくつかの企業様と商談を進めてきました。SIMが入るタブレットは少ないですし、特にTAB10R 4GはMIL規格準拠のタフネスモデルということで、幅広い現場のニーズに応えられる製品です。

 ターゲットに変更はありませんが、市場のニーズを探りつつ、ビジネスとしては今回は法人を中心に展開することになると思っています。

――この間、SNS等でも情報発信がなかったですが、今後はどのようにコミュニケーションをしていくのですか?

アダモポウロス氏:その点は行き届かず、申し訳なく思っています。なかなか告知ができませんでしたが、今後はSNSを活用したキャンペーンなども検討しています。われわれは約3カ月を失いましたが、それは私たちが受け入れて決めたこと。実際に発売された製品を手にしてもらえば、わかってもらえるのではないかと思います。

島田氏:まずは、Orbicを知っていただくところからのスタートになると思います。米国では通信最大手のベライゾンにも多くの機種を採用されるなど、ブランドが浸透していますが、日本でも同様にブランドとして信頼が築けるように、これから時間をかけて、丁寧にコミュニケーションをしていきたいと思います。

島田氏は対面で、アダモポウロス氏はリモートで取材に応じた
島田氏は対面で、アダモポウロス氏はリモートで取材に応じた

――スタートが遅れたことで、今後のビジネス展開にも影響が出るのでは?

アダモポウロス氏:影響がないわけではありませんが、もちろんすでに次のポートフォリオも考えています。また日本市場で今後どのように展開していくかについても、キャリアを含めていろんな事業者の方と、引き続き話し合いを続けています。

島田氏: Orbicは日本だけでなく、今グローバルに事業を拡大しています。オーストラリアや台湾、ヨーロッパなどでもビジネスが始まっていて、それぞれの市場で何が求められているのか、先行しているマーケットからリサーチを進めているところです。日本でも皆さんの声を聞かせていただき、こういうのがあったらもっと暮らしが快適になるというものを、カタチにしていければと考えています。

――今後の日本での展開について、現時点で言えることはありますか?

アダモポウロス氏:もっと日本の消費者が気に入るような、面白いものを出していきたいと思っています。具体的な製品についてはまだお話しできませんが、端末メーカーとしてサステナビリティには引き続き取り組んでいきます。パッケージの素材を工夫したり、再生プラスチックの採用などもそうですが、耐久性や防水性を高めて、長く使える製品にしていくこともそのひとつです。たとえば、TAB10R 4Gのようなタフネスモデルは、先行している市場でも高評価をいただいているので、次のポートフォリオでも考えていきたいと思っています。

島田氏:今回お待たせしてしまったのですが、この間にも止まっていたわけではなく、並行して次のことを進めてきました。まだ次はこうですよと言える段階ではないですが、他のマーケットとも調整しながら、日本のお客様のニーズに応えられる製品を検討していきます。

 スマートフォンに関していえば、5Gもそうですし、その先には「FeliCa」(フェリカ)やマイナンバーカードへの対応など、日本向けのカスタマイズについても、可能性はあると思います。ゆっくり着実に日本の地に足をつけていく方針なので、商品を手にとっていただくことで良さを伝えていきたいし、今後はエンジンを吹かすタイミングと商品を見極めていきたいです。

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