チャットボット「ChatGPT」の開発元であるOpenAIは「GPT-5」の開発を始めておらず、当面その計画もないと、最高経営責任者(CEO)のSam Altman氏が米国時間4月13日に語った。
Altman氏は13日、ビデオ通話を通じてマサチューセッツ工科大学(MIT)のカンファレンスに参加し、Elon Musk氏やAppleの共同創設者Steve Wozniak氏らが3月末に署名した書簡について、「その書簡の以前のバージョンでは、OpenAIがGPT-5をトレーニングしていると主張していた。そのようなことはなく、今後もしばらくはないだろう」と述べた。
この公開書簡は、社会に対する「深刻なリスク」を理由に、人工知能(AI)開発を少なくとも6カ月間停止することを研究組織に呼びかけるものだ。Altman氏は、書簡の一部には同感すると述べ、OpenAIは「GPT-4のトレーニングを完了した後、6カ月間以上経ってからこれをリリースした」とした。
「慎重に物事を進めて、安全性の問題をさらに厳格に扱うことが、非常に重要だと考えている」と同氏は述べ、「また、能力がますます本格化するにつれて、安全性の基準を上げる必要があるという点についても同意見だ」とした。
「しかし、われわれはGPT-4に加えて、対処が重要となるさまざまな安全性の問題を抱えていると思われる他のことも行っているが、それらは書簡でまったく触れられていない」ともAltman氏は述べたが、詳しくは語らなかった。同氏の発言については、CNBCがいち早く報じていた。
この書簡は、非営利団体である生命の未来研究所(Future of Life Institute)が発表したもので、AIの予期せぬ影響に対する懸念を以下のように挙げている。
「人間に匹敵するインテリジェンスを備えたAIシステムが、社会と人類に深刻なリスクをもたらす可能性があることは、広範な調査によって示されており、トップレベルのAI研究施設によって認識されている。(中略)機械に私たちの情報チャンネルをプロパガンダと虚偽で埋め尽くさせるのか。充実したものを含めてすべての仕事を自動化するべきなのか。(中略)文明の制御を失うリスクを負うべきなのか」
この書簡は、OpenAIのGPT-4が3月中旬に公開されたことを受けたもの。GPT-4はChatGPTを支える大規模言語モデル(LLM)のアップデート版だ。OpenAIによると、GPT-4はこれまでのバージョンよりも不具合が少なく、より微妙なニュアンスを持つ結果を生成し、より複雑なタスクに対応するという。ChatGPTは、GPT-4のトレーニングに使われた膨大なデータセットを基に質問に回答し、弁護士試験の模擬試験に合格するなどのタスクを実行する。
OpenAIは同社のウェブサイトで、「ある時点で、将来のシステムのトレーニングを始める前に独立したレビューを受けることが重要かもしれない」としている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス