グーグルが提供するゲーム業界向けのプラットフォーム「Google Cloud for Games」。日本は、世界に先駆けて活用が進んでいるという。
Googleでグローバルゲーム事業のリーダーを務める、ゲームインダストリーソリューションディレクターのジャック・ビューザー氏は、Google Cloud for Gamesの提供背景やゲーム業界のトレンド、採用例などを解説した。
Google Cloud for Gamesは、多くのプレーヤーが同時接続し、レベルを獲得したりアイテムを購入したりしてリアルタイムで進んでいく“ライブサービスゲーム”に特化した、ゲーム業界向けのさまざまなソリューションだ。
「Kubernetes」向けのプラットフォーム「Google Kubernetes Engine (GKE)」や、データベース「Cloud Spanner」、データウェアハウス「BigQuery」のほか、ユビタスなどのパートナーと協力したエコシステムという側面も持っている。
ビューザー氏はまず、Googleがライブサービスゲームに注力する3つの理由を説明した。
1つ目として、世界の人口の8割超がスマホを持ち、誰でもゲームができること、2つ目として、PCとモバイルゲームにおける2022年の売上トップ10がライブサービスゲームだったことを挙げる。
「スマホを初めて買った人は、電話(で楽しみ)、テキストメッセージ(で楽しみ)、ゲーム(で楽しむ)という傾向がある。そして、スマホのゲームはほとんどがライブサービスゲームだ」(ビューザー氏)
3つ目は、2027年までに初めてゲームをする人たちは新たに4億人生まれ、その半分が2つ以上のプラットフォームを使用するという分析結果によるものだ。
「モバイルからゲームを始めたプレイヤーは、PCなどのほかのコンソールに移行してもライブサービスゲームを期待する傾向がある」とし、近い将来ほかのコンソールでもライブサービスゲームがトップを独占する可能性を指摘した。
実際にライブサービスゲームに取り組むゲーム企業は多く、Googleにも多数の要望が届いているという。「さまざまなゲーム企業が、消費者向けのパッケージ販売から、ライブサービスゲームの提供へとビジネスモデルを変えようとしている。それにはゲームのデザイン自体に多くの作業が必要になる。また、ユーザーを引き留める施策やセキュリティなどへの対策も必要になる」(ビューザー氏)と、運営する際の注意点を語った。
ビューザー氏は、Googleのゲーム向けプラットフォームとなるGoogle Cloud for Gamesを活用すれば、サーバーやDBの管理、セキュリティ、大多数のユーザーを相手にする可能性があるスケーラビリティといった課題が解決できると続ける。
Google Cloud for Gamesの実際の採用例も紹介した。バンダイナムコエンターテインメントはCloud Spannerを活用し、大量のデータ処理、オペレーションの簡略化といった課題を解決している。
「転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚」「聖剣伝説 ECHOES of MANA」「ヘブンバーンズレッド」などを開発するWFSは、GKEやBigQueryなども活用し、ネットワーク遅延の低減や分析作業の効率化などに役立てているという。
「『Nintendo Switch』の汎用ゲームサーバーの動作基盤としても採用され、とてもうれしく思っている。Googleはまさに、“ライブサービス”を提供する企業だ。多くの部門がライブサービスを運営し、それぞれの事業が10億超のユーザーを持つ。私たちの技術をゲーム企業の方々が活用すれば、ゲームづくりの専門分野に注力できる」(ビューザー氏)とした。
グーグル・クラウド・ジャパン ゲーミング・ソリューション事業部 事業部長を務める畑中康作氏は、ゲーム業界で働くエンジニア向けの招待制特別プログラムとして2020年から実施する「E.G.G.(Expert of Google Cloud for Gaming、通称:エッグ)」を紹介。通算6回実施、のべ700人以上が参加し、エンジニア330人のGoogle Cloudプロフェッショナル認定資格の取得を支援したという。
「オンラインのセッションやハンズオンでの学びのほか、懇親会や終了式での親睦も図れる。現在は第7期を実施中で、過去最高の134人のエンジニアに参加いただいている」(畑中氏)と、プログラムは好調な様子だ。
「当初は画期的な技術を採用していたゲーム企業のサーバーは、だんだん古い技術となりつつあり、(最新技術を学ぶ)若いエンジニアの採用に苦労するゲーム企業の方々もいらっしゃる。Google Cloudを活用することで、この問題が解決できる」(ビューザー氏)し、採用面の課題解決にもつながると語った。
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