生成型の人工知能(AI)は、ビジネスや政治、文化を変革する可能性を秘めている。しかし、Linden Labの創業者であり、AI画像生成サービス「Midjourney」のアドバイザーを務めているPhilip Rosedale氏によると、現在のところ危険をはらんだ不安定な状況にあるという。同氏は生成型AIの現状を、1990年代のインターネット創成期において著しいハイプや、機会、先行きの不透明感が存在していた状況を引き合いに出して比較した。
同氏は米ZDNETとのインタビューで、「GPT-4」のような大規模言語モデル(LLM)や、画像生成テクノロジーといったAIの現在の能力は、超人的なタスクの実行を可能にしている一方で、人間のような推論を行わない「異星人の知性」のようなものだと述べた。同氏は、AIが驚嘆に値する可能性を秘めているといっても、現在のAIモデルはメモリーへの読み書きを同時に実行する上での制約を抱えているため、人間のように聞きながら推論することができない「ゾンビAI」になっている点を強調した。
同氏は、AIのソフトウェアコード記述能力が「衝撃的に素晴らしく」、プログラマーに労力の削減というメリットをもたらすだろうという点を実感したと述べた。またAIはコードの記述能力にとどまらず、キャッチコピーの制作や画像の生成、新たな知見の提供といった創造的なタスクを実行する能力も有している。ただAIの発展とともに、ホワイトカラーの仕事への影響や、自動化の可能性に関する懸念が大きくなってきている。
同氏は、「われわれはようやく、思考というものに対応する何かを実行する上での十分な計算能力を手に入れた」と述べ、「これにより、機会という点で多くの障壁を乗り越えようとしている」と続けた。
こういった機会の中には、テキストの補完から画像の生成に至るまでの、人間の思考に勝るとも劣らないタスクを実行するAIの能力がある。Rosedale氏によると、AIはプログラミングを含むさまざまなタスクにおいて、時間や労力の削減をもたらす可能性がある。Rosedale氏は自らの経験として、三体問題に関して同氏が抱えていた、自らで記述した場合には数時間もかかるような問題をシミュレートするコードを、GPT-4は迅速に書き上げたという話を語ってくれた。
同氏は「このようなマシンはわれわれのためにパラグラフを補完してくれる(中略)しかも、われわれならそうするだろうという方法で補完してくれる(逆に言えば、それは)目新しい方法ではない」と述べた。
また、多くの利点がある一方で、潜在的な危険も存在している。生成型AIはデマの流布や、ハッキング行為の助長、ランサムウェアの開発に利用される恐れもある。さらに同氏は、AIが富の不平等を拡大する可能性についての懸念を表明するとともに、インターネットというテクノロジーが黎明期にそうであったように、AIテクノロジーもすべての人々が自由に利用できるようにする必要性を訴えた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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