「ラブライブ!スーパースター!!」3rdライブツアー宮城公演で見た“9人のLiella!が飛躍する未来” - (page 2)

 TVアニメでの、ラブライブ!東京大会に向けたダイジェストが流れ、ラブライブ!を目指すスクールアイドルを挑発するようなマルガレーテと、かのんの思いやレッスンに励むLiella!の光景を経て、第10話で描かれた東京大会で競うLiella!とマルガレーテのステージに。

 まずは結那さんが、マルガレーテの「エーデルシュタイン」を披露。張り詰めた空気を感じるぐらいの凛とした雰囲気のなかで熱唱。美しさと力強さを感じさせる圧巻のステージを見せていた。

 一方のLiella!が披露したのは「Sing!Shine!Smile!」。衣装はTVアニメで着ていたものであるとともに、2ndライブでは1期生5人が着用していたものを9人で着ることに。クラップを求めるような振り付けや、メンバーの思いやきらめきを9人で受け渡したり、笑顔を示すような頬に人差し指を当てるところなど、温かい気持ちになれるステージに。TVアニメでも描かれていた、両者の“歌”に対するスタンスが見えるものになっていたとともに、それがぶつかり合う東京大会をリアルで体感できるものとなっていた。

「Sing!Shine!Smile!」
「Sing!Shine!Smile!」

 そのままステージは進行し、「名前呼びあうように」ではバラードソングで9人がハーモニーを重ねて歌声を響かせる。続けての「私のSymphony ~WE WILL!! Ver.~」は、「私のSymphony」のライブバージョンとなるもので、ピアノのメロディにのせて歌い進めるなかで、途中からはシンフォニックバージョンとも感じられるような壮大さが増すなかで歌うという、エモーショナルな気持ちになるような“聴かせる”ステージとなっていた。

 TVアニメでの、東京大会の勝者となったLiella!の姿や、マルガレーテとかのんのやりとり、かのんがウィーン国立音楽学校への留学を勧められ決心をするといった、クライマックスに向けたダイジェストが流れるなかで、舞台はラブライブ!全国大会に。そして歌ったのは第12話挿入歌「未来の音が聴こえる」。憧れの舞台で歌うメンバーとシンクロするように、ステージでも9人がパフォーマンス。“世界に歌声を響かせる”かのんの留学と重なるような、旅立ちを表現する楽曲を歌い、最後にはアニメPVのメンバーたちと同様に9人が手をつなぎ、星の形を作り上げていた。

「未来の音が聴こえる」
「未来の音が聴こえる」

 MCでは、TVアニメの千砂都と同様に、岬さんがお団子ヘアーを解いたことを説明し、ことDay1では“ストレート記念日”と声が挙がる一幕も。また「未来の音が聴こえる」の衣装を紹介するなかで、そこで使われている半透明の生地が「オーガンジー」と、Liyuuさんが解説する場面も見受けられた。

 そしてTVアニメ第2期エンディングテーマ「追いかける夢の先で」の披露に。エンディング映像を背景に、アニメでは隣のメンバーにイチゴを食べさせるシーンを、指を付け合って繋げていく形で再現しつつ、夢を追いかけていくことを示す楽曲を高らかに歌っていた。

 ライブが一区切りとなり、アンコールを求める拍手が巻き起こるなか、2期生が加入するところからの歩みをまとめた映像が上映。2期生のレッスンやレコーディング、ライブ&ファンミーティングやTVアニメ第2期主題歌リリースイベント、3rdライブツアーのレッスン風景などが、9人のインタビューとともに映し出された。

 その後ライブTシャツ姿で9人が登場し、アンコールのステージがスタート。1曲目は「水しぶきのサイン」で、水しぶきをあげるような振り付けやスクリーンの演出も交えつつ、清涼感ある青春ソングを歌っていた。

 その後トロッコに乗り込んで2曲を披露。そのうち1曲目はDay1とDay2で異なっており、Day1は「Dancing Heart La-Pa-Pa-Pa!」、Day2は「Dreaming Energy」を披露。両日ともに軽快に歌うなかでは、バブルマシンを手にシャボン玉を作って飛ばして楽しむ姿も。そして2曲目は「Day1」に。ライブで歌われることによってキラーチューンとなるまで成長したとも言える楽曲で、9人では初披露ともあってか驚きの声も聞こえたほど。Day1だけではなくDay2でも歌われ、途中からはステージに戻り、ダンサブルなパフォーマンスで盛り上がっていた。

 MCでは、呼びかけに応じて結那さんが登場。「澁谷かのん!」と言うだけで盛り上がるのはほかにいないであろうマルガレーテとしてのセリフを口にしつつ、満面の笑顔で挨拶。マルガレーテの曲を披露できたこと、最高の時間を過ごせたことの喜びと感謝の言葉を送っていた。

 またLiella!のキャスト陣から終わりの挨拶として感想を語るなかで、Day1ではツアー初日ということもあってか、2期生を中心に抱えていた不安や、メンバーに追いつけるように努力したこと、この先の公演も楽しみといったことが語られ、Liyuuさんからも、9人としての1stライブツアーとして頑張ったことなどを話していた。

 一方のDay2ではペイトンさんが「大好きだっちゃ」と、宮城の方言を使った挨拶をしたことから、それを全員が言う流れとなり、それぞれが個性的な「大好きだっちゃ」を披露するなか、恥ずかしがる薮島さんに対して、大熊さんがわざわざ目の前に座り込んで待ち構えて盛り上がる場面も。さらに大熊さんのときには、薮島さんが意気揚々と大熊さんの横に移動して顔を覗き込むような、メイと四季の関係をほうふつとさせる光景も見受けられた。ライブに対して真摯に向き合うコメントとともに、笑顔で明るくなれるようなMCとなっていた。

 そしてラストナンバーとなったのは「TO BE CONTINUED」。アップテンポなロックナンバーで紡がれる、さらなる先を目指すことを示す楽曲で、メインステージやセンターステージのいたるところで熱唱し、締めくくった。

 ラブライブ!のライブステージは作品とシンクロした世界を楽しむことができるのが特徴。1stライブがそうであったように、この3rdライブはTVアニメ第2期の世界観を味わえる内容となっていた。Liella!のパフォーマンス力の高さもさることながら、結那さんによる圧巻のソロステージも彩りを加えるもので、とりわけマルガレーテの「エーデルシュタイン」とLiella!「Sing!Shine!Smile!」に続く流れは、東京大会のリアル再現と興奮できるものだった。

 結成以降成長著しい1期生に加え、注目が集まっていたであろう2期生のパフォーマンスも遜色なく堂々としたもので、単に人数が増えただけにとどまらない、9人のLiella!の姿というものを存分に感じさせるものに。かねてからライブを見るたびに、ポテンシャルは計り知れないと感じているのだが、ツアーが始まったばかりで、公演を重ねることによる成長があると思えば、さらに飛躍する未来があると、そんな期待が持てるものとなっていた。

 また余談ではあるが、筆者として個人的に印象に残った場面がある。ひとつは「私のSymphony ~WE WILL!! Ver.~」。前述のように、これは「私のSymphony」のライブバージョンとして披露されたもの。過去のライブでも、1stライブでは「~Starlines Ver.~」、2ndライブでは「~What a Wonderful Dream!! Ver.~」としてライブ独自のアレンジが加わったステージが展開されている。

 TVアニメ第1期では、かのんが抱えていた人前で歌えないトラウマを乗り越える場面で歌われた楽曲。そして歌の内容は、TVアニメ第2期で登場した1年生メンバー4人がそれぞれ抱えていた苦悩にも通じるところがあると思えるもの。ステージでは歌い進めていくなかで、2期生がそれぞれの心情を示すような振り付けを見せていたのが目を引いたところ。また過去のライブでも“仲間がいる”ということを示すような演出となっていたなか、今回も個々に当てられていたスポットライトの光から、終盤はステージ全体が明るくなり、9人が横一列となって一歩ずつ歩んでいくシーンは、9人の仲間がいると感じさせるもので、荘厳なメロディということも相まって、涙腺を刺激するようなものとなっていた。

 もうひとつは、筆者お気に入りのメンバーが桜小路きな子であることを踏まえての、鈴原さんのパフォーマンス。ちなみにきな子は、北海道からひとり東京の高校に出ると決心し、結ヶ丘女子に入学した女の子。TVアニメ第2期では、運動も勉強も苦手というなかでもスクールアイドルに出会い、自分を変えようと頑張る姿が描かれている。また鈴原さんは、伊達さんと青山さんと同じく、ラブライブ!シリーズ初の試みとして開催した一般公募オーディションの合格者として参加している。

 鈴原さんの、きな子特有と言えるような柔らかくも芯のある歌声を響かせていたこともさることながら、Day1における「Dancing Heart La-Pa-Pa-Pa!」の間奏で、カメラ目線でのキメキメなウインクが“かわいい”のインパクトが大きいものになっていたとか、Day2の「大好きだっちゃ」を言う流れでは、躊躇なくハートマークを作りつつ挨拶するという度量のあるところを見せていたのも目を引いたところ。またDay1における伊達さんとの「Dreamer Coaster」は、TVアニメ第2期放映時ではそれぞれかのん、きな子のソロバージョンが流れていたこともあり、2人の共演が実現したのも嬉しいところ。きな子をスクールアイドルに導いたかのんという2人の関係性もさることながら、過去の配信番組やリリースイベントで鈴原さんが語っていたエピソードなどを踏まえれば、伊達さんと2人並んで歌っている光景に感慨深さを感じるところがあった。

 なにより印象的だったのは「Go!! リスタート」。前述のようにこの曲は、2年生ときな子の6人が歌ったもの。TVアニメ第2期では、ここまで運動が苦手なきな子がレッスンに励み、それでも代々木スクールアイドルフェスで優勝を逃したのは自身のせいと悔やむ姿を経て、ライブでこの曲を歌い充実した表情を見せるという場面となっていた。

 Day1のMCのなかで鈴原さんは、この曲には思い入れが強くあると語り、きな子が努力して輝く姿を見て奮起したこと、そして笑顔で歌い踊ることの難しさを身をもって体験し、きな子としてステージに立つために頑張ったことを話す。とかく先輩である1期生にひとり混じってパフォーマンスするという状況ながらも、アニメPVさながらに先陣を切って駆け出したり、躍動感のあるダンスに終始笑顔で元気よく歌う姿はきな子と重なるもの。きな子がスクールアイドルとして大きな一歩を踏み出す姿を体現するステージだったと思えた次第だ。

 なお3rdライブツアーは宮城公演と愛知公演がすでに実施。2023年1月から再開され、残り全国5都市で10公演を開催予定。なかでも3月の埼玉公演は、ベルーナドームで初のドームライブを行うとしている。開催会場や日時、チケットや一部公演で行われる有料生配信などの詳細は、特設サイトに記載されている。

■ステージフォト

伊達さゆりさん(澁谷かのん役)
伊達さゆりさん(澁谷かのん役)
Liyuuさん(唐 可可役)
Liyuuさん(唐 可可役)
岬 なこさん(嵐 千砂都役)
岬 なこさん(嵐 千砂都役)
ペイトン尚未さん(平安名すみれ役)
ペイトン尚未さん(平安名すみれ役)
青山なぎささん(葉月 恋役)
青山なぎささん(葉月 恋役)
鈴原希実さん(桜小路きな子役)
鈴原希実さん(桜小路きな子役)
薮島朱音さん(米女メイ役)
薮島朱音さん(米女メイ役)
大熊和奏さん(若菜四季役)
大熊和奏さん(若菜四季役)
絵森 彩さん(鬼塚夏美役)
絵森 彩さん(鬼塚夏美役)

(C)2022 プロジェクトラブライブ!スーパースター!!

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