「半導体企業で働く」を体験できる「半導体産業人生ゲーム」がCEATECに登場

 CEATEC 2022において、主催者である一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)の半導体部会が出展した「JEITA半導体フォーラム 2022」ブースに登場したのが、「半導体産業人生ゲーム」である。

 「半導体企業で働く」を体験できるCEATEC向けの特別版人生ゲームで、タカラトミーの協力を得て実現したものだ。会場で挑戦してみた。

JEITA半導体部会による「半導体産業人生ゲーム」。等身大で登場した
JEITA半導体部会による「半導体産業人生ゲーム」。等身大で登場した

 「人生ゲーム」は、タカラトミーが発売しているロングセラーボードゲームだ。ルーレットを回してマス目を進み、人生のさまざまなイベントを経て、億万長者を目指すことになる。タカラトミーによると、これまでに、歴代70作品を発売しているという。

 半導体産業人生ゲームは、CEATEC向けに特別に用意したもので、半導体産業で働く人生をテーマに、等身大サイズで登場。大型ルーレットをまわしながら、約30マスに書かれたイベントを体験しながら、ゴールを目指す。

 参加者は、就職編のゾーンからスタートする。大きなルーレットを回して、出た数のマスに止まると、そこで、半導体企業に就職した際の職種が決まる。

まずは巨大ルーレットをまわす
まずは巨大ルーレットをまわす

 デバイスエンジニアやソフトウェア開発エンジニア、アプリケーションエンジニア、製造/設備技術職など、さまざまな職種が示されており、ここで自分の職種が決定することになる。

 自分が止まったマスの隣のマスなどを見ると、ほかにどんな職種があるのかも理解できる。

 実際、半導体企業に就職するといっても職種はさまざまだ。半導体を開発するための各種エンジニアでも、論理・回路設計エンジニア、デバイスエンジニア、アプリケーションエンジニア、プロセスエンジニア、ソフトウェア開発エンジニア、生産技術エンジニアなどがある。また、検証・評価部門には生産技術、製造/設備技術、検査技術、品質保証など多岐に渡る。そのほかにも、営業・マーケティング、資材・ツール調達、財務/管理などの職種がある。

就職編では、半導体企業での職種が決まる
就職編では、半導体企業での職種が決まる

 JEITAでは、「就職編のマスを見て、半導体産業にはさまざまな職種があることを理解してもらえるきっかけにしたい」と語る。

 決定した給与にあわせて、実際の人生ゲームで使用されている紙幣がもらえる。久しぶりに人生ゲームに挑戦した人にとっては、このお金を手にするだけでもワクワクするはずだ。

人生ゲームのお札を使ってゲームが進行する
人生ゲームのお札を使ってゲームが進行する
マスを進んでいくと小さいルーレットも使用
マスを進んでいくと小さいルーレットも使用

 就職編で職種が決まると、「給料日+キャリアチャレンジ」のマスに全員が一度ストップすることになる。ここで、再びルーレットを回すと、その数に応じて、キャリアアップやキャリアチェンジを行う。

 1が出たら、研究開発・設計職のマネージャーに昇格したり、6が出たら営業・マーケティング職のマネージャーにキャリアチェンジしたりできる。ここで給与は1.5倍に増加する。

4万人以上の人材獲得へ「半導体産業に興味を持ち、関心を深めてもらいたい」

 ここからは、若手奮闘編となる。ここでは、実際に仕事をしていく上で経験する出来事が起こる。

 「海外に転勤となり新天地で最先端プロジェクトに参加」、「企画した新製品が新型電気自動車のキーコンポーネントに採用される」、「カーボンニュートラル社会を実現するパワー半導体の開発に成功」といった仕事での成功や、「育児休暇を取り家庭円満」、「気の合う仲間たちとリフレッシュで海外旅行に」といったプライベートの出来事も発生する。

 プライベートの出来事をみると、残業が続くようなブラック産業ではないことも感じられる。



若手奮闘編では、成果をあげたり、苦難を乗り切ったりして、キャリアを積み重ねていく
若手奮闘編では、成果をあげたり、苦難を乗り切ったりして、キャリアを積み重ねていく

 最後の大願成就編では、「次世代グリーンデータセンターの中核となるメモリを開発」、「走行中のワイヤレス給電を可能にする新素材のパワー半導体を開発」、「世界が注目する省電力の半導体を開発」といった未来の出来事をやり遂げることになる。

大願成就編では、厳しい出来事に直面することも
大願成就編では、厳しい出来事に直面することも

 ただ逆風もある。「大不況が到来。担当していた大型プロジェクトが中止」となり、3マス戻ることもあるが、「世界的な半導体不足発生」では、「生産増強計画を無事に成し遂げる」ことができたり、「製品で不具合が発生」しても、「迅速な対応で危機を乗り切る」ことができ、お金をもらえる成果につながったりする。

 このようにマスに書かれた出来事にワクワク、ドキドキしながらゴールを目指すのは、まさに人生ゲームそのものだ。学生の場合には、ゴールすると、書籍がプレゼントされる。

 JEITAでは、「半導体産業人生ゲームで、半導体産業に興味を持ってもらった学生に、自宅に帰ってからも書籍を読んで、さらに半導体産業への関心を深めてもらいたい」とする。

半導体産業人生ゲームに参加した学生には書籍をプレゼント
半導体産業人生ゲームに参加した学生には書籍をプレゼント
半導体産業の職種カードももらえる
半導体産業の職種カードももらえる

 世界の半導体産業は、2000年には20兆円の市場規模であったものが、2020年には50兆円に拡大。さらに2030年には100兆円の市場規模にまだ急拡大すると予測されている。だが、日本の半導体産業は、ほぼ4兆円のままで推移し、半導体産業人口は19万人から、8万人に減少。JEITAの試算によると、今後の世界的な半導体産業の成長に追随していくには4万人以上の人材獲得が必要だという。

 JEITA半導体部会会長の小野寺忠氏(マイクロンメモリジャパン 代表取締役)は、「日本の半導体産業はCMOSイメージセンサー、DRAM やNAND型フラッシュメモリ、パワー半導体、自動車向けMCU、アナログICの分野において、高い国際競争力を保持している。世界的な競争環境のなか、いまの社会はもとより、未来の社会のために半導体産業として貢献を続けていくためには、次世代の皆さんの力が欠かせない」とし、「CEATEC 2022においては人生ゲームによる働く体験や、各種アプリケーションの展示、実際に働く社員たちとの対話を企画した。1人でも多くの人に、半導体産業で働く魅力や可能性を感じてほしい」としている。

 半導体産業人生ゲームのコマに書かれた内容は、JEITA半導体部会の担当者が何度も議論を重ね、半導体産業がわかりやすく、興味を持ってもらいやすいように仕上げていったという自信作だ。

 なお、今回の半導体産業人生ゲームは、多くの人が順風満帆の人生でゴールすることができる。お金を支払うマスも、家族との長期休暇での世界一周旅行など、前向きな内容のときだけである。半導体産業は将来性があり、夢のある産業である。だが、半導体産業に入ったからといって、今回の人生ゲームのように、決してお手軽に成功する人生が保証されるわけではないことは付け加えておきたい。それはどの産業でも同じである。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]