スマートフォンネイティブが見ている世界

YouTubeやTikTokにあふれる「スマホの制限解除」動画--子どもたちの永遠の関心事

 「保護者にかけられたスマホの利用制限を解除したくて、子どもが画面収録機能を使った」という話を、続けざまに聞いた。

 iOS端末のスクリーンタイム機能、Android端末のファミリーリンク機能、Switchのニンテンドー見守りSwitch、安心フィルターなど、子ども向けの端末には制限機能が多数用意されている。そのようなスマホの制限を解除するには、パスワードが必要なものがほとんどだ。

 そのパスワードを知るために、子どもたちは知恵を絞る。その1つが画面収録をしたまま保護者にスマホを渡し、パスワードを知ってこっそり解除するというもの。以前から広く知られている方法の1つだ。

 以前も、スマホの制限を自ら解除する子どもたちをご紹介したが、その最新状況を見ていきたい。

制限解除し自由に利用したい子どもの熱意

 ニフティキッズの「キッズなんでも相談」は、“みんなの悩みをみんなで一緒に考える”がコンセプトであり、子どもの悩みに対して多くの子どもたちが回答を寄せているのが特徴だ。

 2016年に投稿された13歳の悩みは、「保護者パスワードの解除方法を知りたい」というものだ。キッズスマホの時間制限をかけられているが、親に聞かずに自力で保護者パスワードを解除したいというのだ。

 この問いに対しては、2022年にいたるまでに250件以上の回答が寄せられている。コメントを寄せているのは、規定では5〜19歳が対象だが、実際に投稿しているのは主に8、9歳から15歳くらいまでの小学生、中学生たちだ。「パスワード解除法を公の場で共有するなんて」と眉をひそめず、子どもがどのようなことを考えているのかを知る参考にすると興味深い。

 「誕生日や名前、住所、車の番号などを試す」「0000からすべての数字を打ち込む」「親のパスワードメモを探す」「解除してもらう時にビデオカメラを仕掛ける/鏡を使う」「手の動きで推測する」などの子どもらしいものも多い。「おねだりして解除してもらったけど、そのままかけるの忘れてるから大丈夫」「酔って帰ってきたパパに聞くのがおすすめ」といった直球の子もいた。

 しかしなかには、「画面録画機能を使う」「画面をきれいに拭いて指紋をたどる」「初期パスワードは0000だから試す」「初期化する」「親が寝ている間に親の携帯から設定を変える」などの工夫も見られる。バグを利用したような複雑な手順を踏むテクニックを載せている子もいた。なかなか侮れないことがわかるだろう。

YouTube、TikTokにあふれる制限解除方法

 相変わらずYouTubeには、「制限解除」と検索すると、たくさんの解除方法解説動画が表示される。その多くが、「安心フィルターの親にバレない制限解除方法」「スクリーンタイムを解除する裏ワザ」「学校のタブレットのロックを外す方法」「見守りSwitch解除裏技」など、完全に子ども向けに保護者からかけられた制限を外すための内容となっている。

 内容はバグのような穴を突いたものも多く、思わず感心してしまうほどだ。多いものは再生数が数十万にも及んでおり、「ガチで助かりました」「命の恩人です、ありがとうございました」「これをやっても親に通知はいきませんか」など、子どもらしい視聴者からのコメントが多数つけられている。YouTubeは再生数が増えれば収益につなげられるため、収益目的で投稿していると考えられるのだ。

 変化が一番顕著なのは、TikTokかもしれない。検索窓で「制限解除」と入力すると、「制限解除する方法」「制限解除 裏ワザ」「制限解除してバレない方法」「制限解除親バレる」「制限解除 裏ワザ ファミリーリンク」など、スマホなどの制限解除方法を検索したキーワードが表示される。

 
 

 「#制限解除」は320万回、「#スマホ制限解除」は10万回等、多く再生されている。音声、テロップ付きの動画で説明しているため、解除方法がわかりやすく、人気となっているのだ。この動画をYouTubeにも投稿している人も多い。

必要性がわかっていれば子どもは自分で制限する

 一方で、「テスト勉強しなければならないのに、ついついスマホの利用時間が長くなってしまう。だからテスト期間はSNSなどのアプリは一度削除する」「iPhoneの『おやすみモード』は便利。通知がこなくなるから、集中しやすくなる」など、最近の高校生たちは自ら積極的にスマホの利用制限をしている子も多い。

 「スクリーンタイムは友達同士でかける。自分だとすぐに解除してしまうし、親に制限されると反抗したくなるけど、友達同士なら大丈夫」という子もいる。過去には、スマホに触らずに勉強に集中できるタイムラプス勉強法についてご紹介したこともある。

 「画面収録機能を使うなんて」と、教えてくれた人は驚いていたが、実際にやっていたという報告はこれまでに何度も聞いたことがある。しかしこれはネットで調べればすぐに出てくる手法であり、ありふれたものだ。それ以外にも多くのやり方がネットにあふれており、検索できる子ならば簡単にアクセスできる。

 「よくわからないけど、勧められたから一応あんしんフィルターを入れておく」という保護者は多い。しかしそれでは子どもが納得しておらず、こっそり隠れて解除することにつながってしまう。何のために制限するのか、どのような制限が必要なのか、子どもと話し合って納得の上で制限するべきだ。制限するメリットを感じていれば、子ども自ら制限するものだ。

 夏休みはスマホやネットの利用時間が長くなりやすい傾向にある。家族や子どもたちの利用を見守ってあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/

Twitter:@akiakatsuki

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