ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、定額制ゲームサービス「PlayStation Plus」(PS Plus)を大幅リニューアル。日本国内では6月3日からサービス提供を開始。本稿では、最上位プランである「PS Plus プレミアム」を実際に体験した所感などをお届けする。
リニューアルしたPS Plusは、これまでクラウドゲーミングサービスとして展開してきた「PlayStation Now」(PS Now)のサービス内容を、PS Plusに統合。「PlayStation Plus エッセンシャル」「PlayStation Plus エクストラ」「PlayStation Plus プレミアム」という、3段階のプランで提供する形となった。
PS Plus エッセンシャルは、これまでのPS Plusで提供されたものとほぼ同様となるもので、価格も変更はない(税込価格:1カ月850円/3カ月2150円/12カ月5143円)。PS Plus エクストラは、PS Plus エッセンシャルのサービスに加えて、数百本のPS4およびPS5のタイトルがラインアップされた「ゲームカタログ」が用意され、ダウンロードしてプレイすることができる(税込価格:1カ月1300円/3カ月3600円/12カ月8600円)
そしてPS Plus プレミアムは、PS Plusエクストラのサービスに加えて、初代PlayStation、PS2、PS3、PSP用のクラシックゲームを集めた「クラシックスカタログ」をプレイできる(※PS3タイトルのオリジナル版は、クラウドストリーミングを通じてプレイが可能)。ほかにも、プレイ時間に制限を設けて特定のゲームを購入前にお試しプレイができる「ゲームトライアル」、ゲームカタログ内のPS4用ゲーム、クラシックスカタログ内の初代PlayStation、PS2、PS3用ゲームを、PS5やPS4からストリーミングを通じてプレイできる「クラウドストリーミング」が提供される(税込価格:1カ月1550円/3カ月4300円/12カ月1万250円)。プレイできる対象ゲームなどの詳細は、公式サイトに記載されている。
ゲームカタログは前述のようにPS4とPS5のタイトルがプレイできるというもの。エクストラとプレミアムで利用が可能となっており、サービス開始時点で250を超える(※一部「GAME OF THE YEAR EDITION」などの重複を含む)タイトルをラインアップ。「Ghost of TsushimaDIRECTOR’S CUT」や「DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT」、「Demon’s Souls」といったものから、「FINAL FANTASY VIII Remastered」や「FINAL FANTASY X/X-2 HD Remaster」といったファイナルファンタジーシリーズの一部タイトルなども用意されている。
基本的に遊びたいタイトルをダウンロードしてプレイするのだが、プレミアムでは一部のPS4タイトルをストリーミングでプレイすることが可能。クラウドストリーミングには、5Mbps以上のインターネット接続が必要となっている。ダウンロードする時間がかからず、容量を切迫しないメリットがある一方、通信環境によっては入力の遅延を招く場合があるなど、ゲーム体験を損ねるデメリットもある。
プレミアムで利用できるクラシックスカタログでは、17タイトルをラインアップ。初代PS、PS2、PSPタイトルについては、サービス開始時点で「サルゲッチュ」や「ワイルドアームズ」、「IQ Intelligent Qube」などを用意する。現状ではすべてダウンロードしてプレイするタイプになる。また、一部タイトルではフレームレートの向上や高画質化が施されているほか、いつでもゲームをセーブできたり、ゲームをやり直したいときに巻き戻せたりすることができるメニューが用意されるなど、遊びやすいようになっている。
なおタイトルによっては、PlayStation Storeから単品での購入も可能。加入を問わずプレイすることができる。
クラシックスカタログにおけるPS3タイトルについては、PS Nowのサービスを継承していることもあってか、全てストリーミングでの提供となっている。サービス開始時点で180を超えるタイトルがラインアップされており、「ICO」や「TOKYO JUNGLE」、「バイオハザード4」をはじめとするバイオハザードシリーズの一部タイトルなどが用意されている。
また、プレミアムで利用できるゲームトライアルは、前述のようにプレイ時間に制限を設けて特定のゲームを購入前にお試しプレイができるというもの。サービス開始時点では12タイトルが用意されており、制限時間はタイトルによって異なっている。
以上が、今回の刷新したPS Plusにおける注目どころとなっている。前述のように従来のPS PlusにPS Nowを統合した形となっているため、トライアルやクラシックゲームがプレイできるところが目新しい要素になっている。
ストリーミングでのプレイについては、どうしても遅延が気になるというもの。筆者が有線接続での通信環境で試した限りでは、おおむね良好と感じられた。ただし、このあたりは個々によって異なるところでもあるため、PS4タイトルについてはダウンロードを基本に考えつつも、通信環境やストレージの空き具合、遅延の影響を受けにくいゲームジャンルかどうかなどを考慮したり実際に試してみて、選択するのもいいだろう。
あとは、遊びたいゲームタイトルがあるかどうか次第。オンラインマルチプレイを楽しむために加入し、毎月のフリープレイや「PlayStation Plusコレクション」(※PS5限定機能)でも十分であればエッセンシャル、PS4以降のタイトルを幅広く楽しみたいユーザーはエクストラ、PS3以前から親しんでいてクラシックタイトルも楽しみたいユーザーであればプレミアムとなるだろう。
ゲームカタログ、ゲームトライアル、クラシックスカタログはそれぞれ「今後さらに多くのタイトルが追加される予定」と告知している。今の段階でラインアップに関して言及するのは早計なところもあり、あれもこれも追加してほしいと言い出すときりはないが、相応に量自体は用意されていると感じられるものの、とりわけゲームトライアルとクラシックスカタログの初代PS、PS2、PSPの提供本数については、リニューアルという注目を集めるタイミングだっただけに、乏しさを感じたのも正直な気持ちとしてある。
特に初代PS、PS2、PSPタイトルについては、要所を抑えたタイトルかつ機能拡充があるものの、この世代のタイトルがプレイできるという発表があったときの期待値と、用意された本数にはズレを感じた本音がある。これは定額制ゲームサービスをとりまく環境もさることながら、それだけプレイステーションプラットフォームでリリースされてきた膨大なタイトル群と、積み重ねてきた歴史があることの証左であり、期待度の高さゆえの側面もある。全般通して、どのくらいの頻度でラインアップが追加されていくのかが気になるところであり、実際の追加だけではなく、こういった情報も積極的に告知されると、期待感が高まりやすいと感じている。
なお余談ではあるが、一個人としては、ピュアな心の持ち主だけが入店できる会員制のお店を舞台にした、ディースリー・パブリッシャーの恋愛シミュレーション「ドリームクラブ」シリーズを愛好していて、かつては記事も書いていたこともある。週末にドリームクラブに通っては、そこで働くホストガールの“セッちゃん”こと雪(せつ)や、美月(みつき)とお酒を飲んでは会話を楽しんでいた……というような思い出のある“ピュア紳士”のみなさんは、クラシックスカタログのPS3にシリーズ4タイトルあるので、懐かしんでみるのもいいだろうということは付記しておきたい。
(C)2022 Sony Interactive Entertainment Inc. All Rights Reserved.
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」