改正宅建業法施行で変わる不動産契約--イタンジが提案する完全電子化

加納恵 (編集部)2022年06月01日 09時00分

 イタンジは、5月18日の改正宅建業法施行にあわせ、不動産関連電子契約システム「電子契約くん」をアップデートした。今まで紙が介在していた契約までの流れを完全電子化する。

「電子契約くん」をアップデートした
「電子契約くん」をアップデートした

 今までの賃貸借契約は、宅地建物取引業法により重要事項説明書と賃貸借契約書(宅地建物取引業法第35条、第37条書面)の書面交付が必要なため、対面や郵送でのやりとりが必要だった。しかし、改正宅地建物取引業法施行により、賃貸借、売買契約における重要事項説明の非対面化と書類(34条の2、35条、37条書面)の電子交付を実現。賃貸借契約の完全電子化がスタートした。

 イタンジでは、駐車場やサブリースでの契約時など、宅建業法が必要ない契約における完全電子化の取引を約3年前から開始。弁護士や同社の法務部門などと内容をすりあわせながら、使いやすさを重視した完全電子化契約のシステムづくりを続けてきた。

 約3年間の取り組みが実を結んだ賃貸借契約の完全電子化システムは「とにかくシンプル」にできていることが特徴。「電子化における手続きでは『やりとりのログを残す』ことが徹底されている。そうした契約の本筋とは違う部分においてもシステム的に組み込むことで、その部分のやりとりだけ紙やメールになるといった運用でカバーすることがなくなる。普通に使ってもらうことで、契約に関するすべてのやりとりが電子化されることを目指した」とイタンジの黄健輔氏はポイントを説明する。

各項目への同意にチェックを入れると契約が開始される。システム上ですべて完結する仕組み
各項目への同意にチェックを入れると契約が開始される。システム上ですべて完結する仕組み

 実際、電子契約を体験させてもらったところ、やりとりはとにかくスムーズ。名前、メールアドレス、パスワードを設定すると「メールアドレス認証のご依頼」というメールが届き、メール内の「メールアドレス認証を進める」をクリックすると、認証手続きの画面に遷移。利用規約への同意にチェックを入れると契約がスタートする。

 手続きのステップがどこまで進んでいるのかもひと目で把握できるほか、重要事項説明では、画面内の「テレビ電話に接続する」をクリックすると、不動産会社側の担当者とオンラインでつながる仕組み。同一画面上に「重要内容事項説明書」も添付されているので、画面を見ながらのやりとりが可能だ。

重要事項説明の項目では書類を確認できるほか、ワンクリックでテレビ電話に接続可能だ
重要事項説明の項目では書類を確認できるほか、ワンクリックでテレビ電話に接続可能だ
重要事項説明書。押印できる場所も自由に設定できる
重要事項説明書。押印できる場所も自由に設定できる

 体験して感じたのは、1つの画面内で一気通貫して契約を終えられるということ。契約書や電話会議のURLは別メールを探すなどの手間がなく、システム内で完結するスムーズさ強くを感じた。「肌感覚になってしまうが、以前の賃貸借契約は書類を受け取って、内容を確認して、サイン、押印して、さらにその書類を郵送すると、20〜30分かかっていたものが電子契約になることで数分で完結できる」(黄氏)と、ユーザー体験を大幅に変える。

 変えるのは不動産管理会社の業務フローも同様だ。「契約準備には、契約書を作り、印刷して、署名、押印が必要な場所にしるしをつけ、製本して送付。戻ってきたものを確認して、サインや押印などに不備があれば、送り返してと、大体準備に1時間半程度かかっていた。すでに導入していただいている会社の方からは作業が20分程度ですむようになったとお話をいただいている」(黄氏)と業務効率化に結びつける。

 「賃貸借に関連する書類の保存義務は10年間で、これにはかなりのスペースが必要。加えて、紙で保存しているため、1つの書類を探し出すためにかなりの時間を要していた。電子契約に切り替えることで管理場所が削減されるほか、検索も簡単になる」(黄氏)と電子化におけるメリットは書類の管理体制にも及ぶ。

 紙資料でのやりとりが一般的だった不動産会社に電子化を取り入れるハードルはないのだろうか。「物件のやりとりには不動産管理会社、仲介会社、家賃保証会社と多くの人が関わり、会社ごとにその体制は異なる。そのため、承認者欄をクリックすることで承認できる人の数を増やせるなど、自由度をもたせている」とイタンジの中村友拓氏はと独自の手法を明かす。

不動産管理会社側の画面。承認者を簡単な操作で増やせる
不動産管理会社側の画面。承認者を簡単な操作で増やせる

 さらに「書類上の押印は、法律上義務化されていないが、今までの商習慣もあり、押印がされていることで、書類が完成しているかどうかがひと目でわかる。押印の場所も会社ごとにルールが異なるので、違和感なく作業を進められるように自由に動かせるようにした」(中村氏)と現行の業務に合わせる工夫も凝らす。

 システム上でも現行業務に合わせた調整ができているのは「不動産会社の現場を知っているエンジニアが作ったからこそ。不動産会社の方ともヒアリングを重ね、社内外の人の声を取り入れることで、使いやすいシステムにできたと思う」(中村氏)と自信を見せる。

 ただし、改正宅建業法施行にあわせ業務が一気にシステム化するとは考えていない。「紙でのやりとりを希望する方はもちろんいらっしゃるため、紙とシステムの両方をそろえていくことが大事だと思っている。しかし、今後業務をしていく上でお客様から『電子での契約がいい』と言われる時代がくることは確か。入居者側から広がっていくシステムだと思っている。契約の前段階となる契約書作成ステップなど、デジタルによって変えられる部分は多い。今後は、そうした契約前のステップまで含め便利にしていきたい」(中村氏)とした。

左から、イタンジの電子契約システム開発責任者 中村友拓氏と 電子契約くんプロダクトマーケティングマネージャー 黄健輔氏
左から、イタンジの電子契約システム開発責任者 中村友拓氏と 電子契約くんプロダクトマーケティングマネージャー 黄健輔氏

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