パイロットが挑戦する「ドローン」民間資格の取得(前編)--スクール選定から座学試験まで - (page 2)

名古屋のスクールを選んだ理由--東京から合宿へ

 ドローンのスクールは、安全に飛行できる広い場所を確保するため、郊外に位置することが多い。最近では、東京や大阪などの都市部のスクールもあるが、座学を都市部で実施し、実技は郊外でというパターンが多いようだ。もちろん、完全屋内型の“至れり尽くせり”のスクールもあるのだが、講習費用が高額なことが多かった。

 問い合わせをする中で、インストラクター自らが真摯に対応してくれるスクールをみつけた。電話で話を聞くと、数々の実証実験にも参加する現役のドローンパイロットだった。筆者は東京に住んでいるが、取得費用やサポート面などから総合的に判断し、遠方ながら名古屋のスクールに決めた。自動車の運転免許を合宿で取りに行くようなものかもしれない。認定団体はIAUで、受講したスクールの標準価格は24万8000円(税込)だった。

 結構思いきった選択をしたかもしれないと思っていたところ、「首都圏からは珍しいが、遠方からの受講生は少なくない」という。なお、日数は2日間。対面で座学をする場合はもう少し長くなるようだが、それでも1週間以内で収まる日程とのことだった。

 今回、一緒に受講した方は、四国から4時間ほど車を運転してきたという。筆者は、スクールが郊外にあることを考慮して車で行くことも考えたが、ガソリン代と高速代を考え、結局新幹線とホテルがセットになったJR東海ツアーズの「新幹線ダイレクトパック」を利用した。

 遠方での受講は、新幹線代などの交通費、ホテル代などの宿泊費がかかる。今回の宿泊費と交通費は合わせて3万5000円ほど。新幹線のグリーン車往復とホテル代がセットになった金額としては比較的お値打ちだが、電車の便が良くない郊外での実技だったので、せめて現地でカーシェアを借りればよかったと後悔した。

契約から座学、試験まですべてオンライン

 筆者が通ったスクールは、契約から試験に至るまでのすべての手続きがペーパレスで済んだのも印象的だった。加盟する管理団体や、スクールによって内容や項目、分量が異なるので、あくまで参考の一つとしてお伝えしたい。

オンラインで座学と座学試験が受けられる
オンラインで座学と座学試験が受けられる

 座学は、新型コロナウイルスの流行を受けてオンラインにしたとの話だったが、好きなタイミングで勉強できるうえ、復習も容易でよかった。なお、人材開発支援助成金を利用した場合に限り、受講証明などが必要になるため、対面での実施になるとのことだった。

 座学は12項目で、ドローンをはじめとした無人航空機の解説「無人航空機概論」、ドローンに関する最低限守らねばならないルールや法規制について紹介する「法規制とルール」、天気図や気象概要について紹介する「気象」、ドローンのコントロールに用いている「電波」、多くの個人向け機に搭載されている「カメラ」、充電や保管などに細心の注意が必要な「バッテリー」「基本航空力学」「技術」「基本実技」「安全運行管理」、航空法や電波法などのドローンに関連する法律をまとめた「法律」、それに加え、事故事案をまとめた項目が1項目あった。

 テキストは、項目ごとにパワーポイントで作成したスライドのようなものがそれぞれ10~15ページほどある。それに準拠した30分ほどの動画もそれぞれ用意されており、あわせて学習することを推奨していた。

団体によってはこのようにオンラインで閲覧できる動画もある
団体によってはこのようにオンラインで閲覧できる動画もある

 内容は専門的なことが多く、とっつきにくいように見えて解説をよく読むと理解できた。内容の全体ボリュームについてはそれほど多いとは感じず、むしろ「これくらいでいいのか」とやや懐疑的になるくらいだったが、国家資格化後は座学項目が倍増するかもしれないとの話も聞いた。

 筆者はパイロットの訓練時も座学の半分ほどがオンラインだったこともあり、抵抗なく学習できた。しかし、別のスクールでドローン民間資格を取得した知人は「質問がしにくかった。どこが分からないかすら分からないような初心者にオンラインはキツい」とこぼしていたので、人によるかもしれない。

印象に残った「気象」と興味を持った「事故事案」

 数ある座学項目のうち、気象で少し苦労した。気象特性や天気図などが不得手で、パイロットの訓練でも苦手意識を払しょくすることはできなかった。

 試験自体は無事合格できたものの、気象項目についてさらに勉強せねばと痛感した。その後、気象に関しては調べているうちに興味がわいてきて、気象予報士資格を取るべく勉強を始めた。

 今回使用したテキストでもう一つ印象的だったのは「事故事案」だ。今回の座学の中でも非常に有意義かつとても考えさせられる内容だったので紹介したい。

 ドローンを飛ばす上でもっとも重要なのは「事故を起こさない」ことで、これはドローンに限らず、車や航空機でも必ず心がけねばならないことだ。

 国土交通省の事故報告によると、2021年度に同省に報告があったドローンの事故は86件。同じく2021年度の航空機(グライダーなどの軽飛行機を含む)の事故は8件であることと比較すると、非常に多いと言える。

 スクールの講師などにドローンの事故原因が多い理由を聞いたところ、ドローンの事故原因として「操縦技量不足」「経験不足」「(一部だが)モラルの低下」などがあるという。2021年7月には缶ビールと缶チューハイ計8本などを飲みドローンを操縦したとして、愛知県豊田市の男性が航空法違反で書類送検される衝撃的な事件もあった。

 豊田市の事件はやや極端な例だが、ドローンの事故報告を見ていると「確認不足」「知識不足」という文言が目立つ。事故報告を訓練前に見たことで、念入りに確認を重ねたフライトをしようと強く決心するいいきっかけにもなった。

 筆記試験は、4択式の問題が50問出題されるウェブテスト方式だった。運転免許の試験などとは異なり、引っ掛け的な設問もほぼなかった。内容はいたって基礎的なもので、試験自体は制限時間60分のところ、10分ほどで終えられた。ドローンを飛ばすうえで必ず覚えなければいけないものばかりで、満点を目指すべき試験なのだろうと感じた。ちなみに点数は96点。試験でも気象項目の不正解が目立ち、あと少しで満点だっただけに、少し悔しかった。

試験は選択問題方式
試験は選択問題方式

動画で実技のイメージトレーニング

 今回の場合、筆記試験の終了から実技までに2週間近く時間が空いてしまったので、イメージトレーニングをして備えることにした。

 なるべく訓練開始時に新鮮な知識で臨みたいと思い、座学の復習にテキストを総ざらいしたほか、座学や試験で利用したオンラインポータルにあるまとめ動画を見てイメージトレーニングをした。

トイドローンは手のひらサイズで室内でも楽しめる
トイドローンは手のひらサイズで室内でも楽しめる

 筆者の場合、ラジコンの経験もなかったので、動画でコントローラーの操作を学べたのはよかった。ただ、超小型の「トイドローン」を実際に操縦する内容で作られているため、持っていない自分には少し想像しがたい部分もあった。購入を考えたものの、在庫があった製品の価格が4000~5000円ほどすること、たまたま欠品している時期だったのか、到着が1カ月後になってしまうことなどがあり断念した。もし民間資格の取得を前向きに考えているならば、最初にトイドローンを購入して理解を深めておくのがおすすめだ。

 実技の講習を始める前までにYouTubeのドローンに関するありとあらゆる動画を見た。ドローンで撮影した空撮画像からハウツー動画まで多数そろっており、座学のテキストと同じくらい有用なものとなった。

 次回はいよいよ実技編をお届けする。

※【お詫びと訂正】(2022年4月14日)
今後、国家資格としてのドローン操縦免許(ライセンス)制度が開始することを踏まえ、「ライセンス」の表記を「民間資格」と訂正いたしました。誤解を招く表現があったことを、訂正してお詫び申し上げます。

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