日本郵便は12月15日、21万4000人分の書類の社内紛失を確認したと発表した。
21万4000人という数字は、ゆうちょ銀行併設局を除く全郵便局1万9816局の32.2%に相当する6389局における、顧客数約7万2000人分の仲介補助簿と、5.6%に相当する176局における、顧客数約14万2000人分の仲介補助簿以外の書類を合算したもの。いずれも2010年度から2019年度の書類となる。
社内規定で手順として定めている保存場所や期間が十分に浸透しておらず、認識の相違や箱への入れ間違いなどが原因と説明している。
日本郵便は2020年11月18日、4局の郵便局において、投資信託取引及び国債取引に関する「金融商品仲介補助簿」の社内紛失を発表。
2020年12月~2021年11月には日本郵便本社の検査部に所属する検査室社員が全郵便局を訪問し、法令上は7年、社内規則では10年の保存が必要な、金融商品仲介補助簿が適正に保存されているかを確認したという。
その結果、全体の郵便局の約3割で、保存されるべき仲介補助簿が保存されておらず、社内で紛失している事実が判明。投資信託や国債の取扱いごとに作成方法が異なり、その手順が十分に浸透していなかったことが原因と説明している。
仲介補助簿以外の書類の紛失についても、保存期間の認識相違や保存する箱の入れ間違い、保存期間内にもかかわらず誤って廃棄したなどの誤取扱いにつながったと考察している。
また、今回の書類紛失に関して、本社における郵便局の実態把握が不足しており、紙媒体で作成、保存すべき書類の見直しといった手続改正、正規取扱いに関する十分な指導ができていなかったとしている。
ただし、これらは郵便局外に持ち出す必要がない書類であること、社員への聴き取りや関係書類から、紛失した書類は、保存期間の認識相違や保存する箱の入れ間違いなどの誤った手順で廃棄された可能性が高いこと、これまでに顧客からの本件に関係すると考えられる照会、不正な要求などは発生していないことなどから、外部への情報漏えいの蓋然性は極めて低いと考えているという。
あわせて、仲介補助簿は、紛失分も電子データで復元しており、仲介補助簿以外の書類も含めて法令上の問題から顧客に迷惑をかけることはないとしている。
日本郵便では、今回の紛失は管理責任が大きいと捉え、また責任を明確にすべく、3人の関係役員を厳重注意したという。また、再発防止策として6月に仲介補助簿の紙媒体での保存を廃止し、電子データ保存へと改正した。
加えて、仲介補助簿以外の書類の紛失防止策として、郵便局での保存書類の削減、電子化を進める。社員への個人情報の保護に関する指導、検査室社員による郵便局への検査なども継続していく。
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