指先から集めた汗で電気を生み出す装置を科学者たちが考案した。しかもこの装置は、指を動かさなくても機能する。そのため、装着者がじっとしていても、あるいは眠っている間でも発電が行われるという。
柔軟性のある薄いバンド状のこの装置は、ばんそうこうのように指に巻きつき、人間の汗に含まれる化学物質をごく少量の電気エネルギーに変換する。指は常に汗を放出するため、装着者が筋肉を動かさなくてもこの装置は動作する。
「この技術は、ユーザーの居場所や動作に関係なく、自然に出てくる指先の汗を利用しているので、ユーザーが何もしなくてもエネルギーが得られる」と、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)でナノエンジニアリングを研究するJoseph Wang教授は解説した。Wang氏は学術誌「Joule」で米国時間7月13日に公開された、この装置に関する論文の共同執筆者でもある。
一般に、生体エネルギー収集装置を利用する自己発電型ウェアラブルでは、エネルギーを大量に投入する必要がある。だが、この装置は装着者からの物理的なエネルギー投入がなくても動作するので、「ウェアラブルをより実用的かつ便利で、普通の人が気軽に使えるものにするための一歩」になると、論文の執筆者の1人でナノエンジニアリングの博士課程の学生であるLu Yin氏は述べた。UCSDの研究者は以前、汗を電力に変換するタトゥーシールの研究に取り組んでいたこともある。
今回の装置は、腕時計など、ミリワットレベルの電力で動作する低電力の電子機器に電力を供給できる可能性はある。だが、スマートフォンのような高性能の電子機器に継続的に電力を供給するには適していないと、研究者らは述べている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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