ワーケーション中も仕事で成果を出せる人が「出発前」に決めている5つのこと

鈴木円香(一般社団法人みつめる旅・代表理事)2021年07月10日 09時00分
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 全5回にわたるこの連載では、自身も東京と長崎県・五島列島をほぼ毎月のように行き来しながら「申込者の約4割が組織の意思決定層」というワーケーション企画の運営に携わり続けている、一般社団法人みつめる旅・代表理事の鈴木円香が、ビジネスパーソンに向けた超入門編を解説していきます。

 第4回は、「いいワーケーション」をするために出発前に自分の中で整理しておきたい「5つの問い」についてです。

「残念なワーケーション」の共通点

 前回は、これだけは避けたい「残念なワーケーション3パターン」について書きました。

(1)人とのつながりがほとんどない
(2)とにかく旅程がハードすぎる
(3)出張や研修との違いがわからない

 実はこれらの「残念なワーケーション」には共通点があります。

 それは、ワーケーションをする人が旅先で「何を感じ取るか」を無視してしまっている、あるいは、感じ取るための余白が十分に用意されていないという点です。「人とのつながりがほとんどない」ということは、その分だけ旅先で受けられたかもしれない刺激が大幅に失われているわけですし、「とにかく旅程がハードすぎる」や「出張や研修との違いがわからない」は、何を感じ取るかに関係なく、あらかじめ過ごし方が決められてしまっています。

 言うまでもないことなので、忘れられがちですが、そもそも「ワーケーション」は、旅の1つのスタイルです。そして、何のために私たちは「旅」に出るかと言えば、新鮮な体験をするためです。「仕事が忙しくて疲れた」「プライベートでゴタゴタが続いたので休みたい」「ボーナスがたくさん出たから贅沢したい」といった理由でも私たちは旅に出ますが、それも言ってみれば、これまで続いてきた日常を一度ぷつりと断ち切って、非日常に身を委ねたいという衝動からです。

 ワーケーションの難しさは、日常の重要な部分を占めている「WORK(仕事)」と、非日常である「VACATION(休暇)」が、くっついていることです。旅の中に日常の「WORK」を多分に持ち込みすぎることにより、一番大切にしたい非日常が押す潰されてしまうことは避けたいものです。では、どんなふうに過せば、よりよいワーケーションになるのでしょうか。

ワーケーションに出かける前に考えておきたい「5つの問い」

 まずは、ワーケーションに出かける前に、次の問いに対する自分なりの答えを考えておくことをおすすめします。

(1)滞在中「WORK(仕事)」と「VACATION(休暇)」をどんな比率にしたいか
(2)1日のうち何時間くらい「WORK」に当てたいか
(3)「日常のWORK」と「非日常のWORK」をどんな比率でしたいか
(4)「非日常のWORK」はどんな環境があれば、一番捗りそうか
(5)「VACATION」の部分で、いま一番したい体験は何か

 ※「日常のWORK」と「非日常のWORK」について、詳しくは第1回をご覧ください。

 もちろん実際に行ってみて「やりたいことが変わった」「もっとVACATIONに割かないともったいないと思った」「ビーチで企画書を書こうと思っていたけど、屋内の方が集中できることがわかった」というふうに気が変わることはあるでしょう。そういう時は、柔軟に過ごし方をチューニングしていけばよいのです。

WORKとVACATIONのバランスを自分で自由に設計する。そういう感覚をワーケーションを通じて養えると理想的だ。(撮影:廣瀬健司)
WORKとVACATIONのバランスを自分で自由に設計する。そういう感覚をワーケーションを通じて養えると理想的だ。(撮影:廣瀬健司)

 では、実際に5つの問いに答えてみましょう。

(1)「滞在中「WORK(仕事)」と「VACATION(休暇)」をどんな比率にしたいか」


 【例】コロナで旅行にいけない期間が続いたので、VACATIONの部分を多めにして、「WORK:VACATION=6:4」くらいで過ごしたい。

(2)1日のうち何時間くらい「WORK」に当てたいか


 【例】普段の平日は、朝10時から18時くらいまで8時間くらい仕事をしている。今回は友達と2人で行くので、仕事に当てる時間は、少し減らして1日5〜6時間ほどにしたい。

(3)「日常のWORK」と「非日常のWORK」をどんな比率でしたいか


 【例】ずっと在宅勤務なので何となく時間と頭の切り替えが難しく、ルーティンワークをしているうちに一日が終わってしまう。ワーケーション中は、今度社内で募集される新規事業プロジェクトのための企画書づくりに当てたい。なので、ルーティンワークは最低限に抑えて「日常のWORK:非日常のWORK=3:7」くらいにしたい。

(4)「非日常のWORK」はどんな環境があれば、一番捗りそうか


 【例】オンラインの環境だと、社内のチャット通知をついつい見て返事をしてしまったり、調べものに検索するついでにネットサーフィンをしてしまうので、1日2〜3時間はオフラインにして、事業計画をしっかり練りたい。また一緒に行く友人は同業者で仕事の壁打ち相手でもあるので、旅先でどこか気持ちのいい場所があれば、一緒にブレストをしながら企画書を磨き上げたい。Wi-Fi環境の有無よりも、ルーティンワークから気持ちが切り替わる場所であることが大事。

(5)「VACATION」の部分で、いま一番したい体験は何か


 【例】一緒に行く友達が釣り好きなので、釣りにチャレンジしたいと思っている。これまで堤防釣りしかしたことがないので、友達に教えてもらいながら船釣りで鯛を釣りたい!あとは、とにかく料理好きなので、地元の食材を探求しにスーパーや市場、農家の直売所を覗きに行きたい。

 上の5つの問いを考える際に大切なのは、他でもない「自分がこういうふうに過ごしたいと思った」という点。

 第1回で書いたようにワーケーションは、今後のワークスタイルを自力でデザインしていくための、最初のトレーニングですから、「自分が◯◯したいと思う」という内発性を無視せずに上手に掬い上げるようにしてください。

旅先で自分が何をしたいと感じるか。「wantの発見」と「能動性の再起動」はワーケーションの一番大事な「効能」だ。(撮影:廣瀬健司)
旅先で自分が何をしたいと感じるか。「wantの発見」と「能動性の再起動」はワーケーションの一番大事な「効能」だ。(撮影:廣瀬健司)

「wantの発掘」と「能動性の再起動」が最大の効能

 「いいワーケーション」をする最大のポイントは、「ワーケーションをする人が、自分のwantに合わせて能動的に選択する」という点です。自分の心と体の状態を無視して、与えられた過ごし方に終始するのではなく、自分が本当に今したいこと(=want)を知り、能動的に探して、自分で選ぶ。

 この連載を通じて一番伝えたいことは、ワーケーションが、一人ひとりの、眠っていた能動性を呼び覚ますチャンスになりうる、という点です。その意味で「VACATION」の部分も、「WORK」の部分と同じように、今自分が何をやりたいと感じているかに応じて柔軟にカスタマイズしていくことが、いいワーケーションをする秘訣となります。

 日常生活の中では、自分の心の中にあるwantと向き合う時間がなかなか取れないものです。また能動性をもって選べと言われても、すぐにできるようになるとは限りません。自分の中の「wantの発掘」と「能動性の再起動」には、ある程度の時間を要します。

 ワーケーションに行く前に最初から、両方できている人はほとんどいないでしょう。むしろ、ワーケーションを通じて知らない土地を訪れ、いろいろな刺激を受ける中で、これまで意識していなかったwantに気づいたり、「これをやってみたかったのかもしれない。せっかくだからやってみよう」と能動的になれるきっかけが見つかるものです。

鈴木円香(すずき・まどか)

一般社団法人みつめる旅・代表理事

1983年兵庫県生まれ。2006年京都大学総合人間学部卒、朝日新聞出版、ダイヤモンド社で書籍の編集を経て、2016年に独立。旅行で訪れた五島に魅せられ、2018年に五島の写真家と共にフォトガイドブックを出版、2019年にはBusiness Insider Japan主催のリモートワーク実証実験、五島市主催のワーケーション・チャレンジの企画・運営を務め、今年2020年には第2回五島市主催ワーケーション・チャレンジ「島ぐらしワーケーションin GOTO」も手がける。

「観光閑散期に平均6泊の長期滞在」「申込者の約4割が組織の意思決定層」「宣伝広告費ゼロで1.9倍の集客」などの成果が、ワーケーション領域で注目される。その他、廃校を活用したクリエイターインレジデンスの企画も設計、五島と都市部の豊かな関係人口を創出するべく東京と五島を行き来しながら活動中。本業では、ニュースメディア「ウートピ」編集長、SHELLYがMCを務めるAbemaTV「Wの悲喜劇〜日本一過激なオンナのニュース〜」レギュラーコメンテーターなども務める。

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