クラーク記念国際高等学校は7月1日、同校の開校30周年記念事業として同月から開始する「宇宙教育プロジェクト」の発表会を実施した。
宇宙ビジネスを専門に展開するSpace BD代表取締役社長の永崎将利氏を打上げプロジェクトリーダー、東京大大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻の中須賀真一教授を指導担当、女性宇宙飛行士の山崎直子氏をアンバサダーに迎えるプロジェクトで、2022年度中に生徒が開発した「クラーク衛星1号機(仮)」を打ち上げ、軌道上での運用も目指すとしている。
高校生が主体としたプロジェクトで、「宇宙探求部」として最大100人程度の部活動で取り組む。部活動は「衛星開発チーム」「国際広報チーム」「宇宙ミッション実行チーム」の3部門に分かれ、東大大学院の中須賀教授の学術指導と、宇宙ビジネスを専門に扱うSpace BDの永崎氏による技術指導のもとに取り組む。
生徒たちが開発する衛星は10cm角の1Uサイズとよばれる大きさのキューブサットで、近年民間での利用がさかんになっている超小型衛星に分類される。また、衛星の打ち上げにあたっての申請や審査、技術調整などはSpace BDが担当し、開発はアークエッジスペースと共同で行なうという。
また、今回のプロジェクトでは宇宙飛行士の山崎直子氏がアンバサダーを務めるのも特徴。プロジェクトを開始するきっかけの1つとして、クラーク記念高を運営する創志学園の専務執行役員である増田哲也氏との対談があったという。
増田氏は「新型コロナウイルスのまん延が生徒の学校生活に支障をきたしていた。入学式や卒業式、文化祭といった課外活動が無くなっているなかで、何か生徒たちが上を向ける、元気を与えられるプロジェクトをしたい」と考えるとともに、2020年末のはやぶさ2号の地球帰還を通じて、コロナ禍が「自分たちが"地球市民である"ことを再認識をさせられた時間でもあった」と振り返り、高校生が人工衛星を飛ばすことができるのではないか?との着想を得たエピソードを披露した。
山崎氏は「たくさんの方のアイデアが繋がったもの。アイデアはいきなり0から1に生まれるものではなく、多くの点が重なっていくもの。なにより、関係者各位と、この宇宙プロジェクトを主体的に取り組もうとしている生徒ひとりひとりの存在が大きかった。自分も宇宙をずっと目指してきたが、けっこう宇宙を目指すのは難しい。難しいからこそ、多くの学びや喜びがあると思う。このプロジェクトに関わる宇宙探求部の生徒は、その過程一つ一つを大切にしてほしい。」とコメントした。
同高宇宙探求部 国際広報チームの鈴木海任氏は「プロジェクトを通じて、高校生でも宇宙に挑戦できること、衛星を宇宙に飛ばして運用できることを証明したい。この活動を通じて、コロナ禍で閉鎖的になっている世界に明るい希望を持てるニュースとして届いてほしい」と意気込みを述べた。
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