スマートフォンネイティブが見ている世界

ライブ配信だけで生活する「ライバー」まで登場--若者たちの「投げ銭」事情

 ライブ配信での「投げ銭」機能が話題だ。投げ銭とは、主にライブ配信の配信者などに換金できるアイテムなどを送ることを指す。コロナ禍で外出制限がかかった中でも収益源にできる可能性があるとして注目される機能だ。

 YouTube LIVEでの「スーパーチャット」、通称「スパチャ」が有名だが、それ以外にもInstagramやTikTokなどでもスタート。そのほか、SHOWROOMやふわっち、17Liveなどでも投げ銭機能は利用されている。

 中高大学生を対象としたテスティーラボの「ライブ配信アプリに関する調査」(2019年11月)によると、ライブ配信アプリを利用したことがある割合は中高大学生すべてで半数を超える。利用したことのあるライブ配信アプリは、YouTube LIVE、ツイキャス、LINE LIVEなどとなった。

 ライブ配信アプリの利用属性は、「配信者」は男性9.5%、女性4.4%だが、視聴も配信もしている「両方」が男性18.9%、女性16.8%と、合計すると配信する側となる割合は高めだ。配信理由の1位は「暇つぶし」だが、2位に「お小遣い稼ぎ」がランクインするなど、収益目的で配信することは広く浸透しているようだ。若者における「投げ銭」事情について見ていきたい。

ライブ配信で生活する「ライバー」も登場

 「もらった投げ銭の最高額は3000円。配信しただけでもらえたのでテンション上がりました。本当にお小遣い稼ぎになるんだと思った」と、ライブ配信でお小遣い稼ぎをしたことがあるという、ある大学生は語る。バイト代でそれだけ稼ぐのは大変なのに、おしゃべりしていただけでもらえたので嬉しかったという。「いつももらえるわけじゃないけど、家にいてしゃべっているだけで稼げる可能性があるのは嬉しい」

 VTuberの桐生ココさんが1.5億円以上のスーパーチャットを獲得し、2020年の年間ランキングで1位をとって話題となった。投げ銭だけで生活している「ライバー」と呼ばれる人たちもおり、収益を上げる人は増えている。

 では、投げ銭はどの程度利用されているのだろうか。コロナ禍でライブや演劇などのイベントなどが軒並み中止になり、プロスポーツの試合も無観客開催となった。収益減に苦しむエンタメ業界にとっては、投げ銭は新たな収益源となる可能性があり注目されている。好きなものが消えてしまうことを恐れ、支援したいと考えるユーザーも増えている状態だ。

 ネットプロテクションズの「コロナ禍におけるエンタメイベントのマネタイズ方法に関する調査結果」(2021年5月)によると、オンラインイベントでの投げ銭経験を聞いたところ、投げ銭経験があるのは11.2%であり、そのうちファン層に限るとその4倍の40.6%が投げ銭をしたことがあると回答。

 1コンテンツあたりの平均投げ銭金額をみると、3000円以上の投げ銭をする人は全体では2.8%だったが、ファン層の場合は14%と7倍もの差がついた。推しに対しては投げ銭をし、金額も高くなる傾向にあるのだ。

 コンサートライブやファンミーティングなどエンタメ系イベントのコンテンツ種別ごとにファン層における支払い方法を意識調査したところ、投げ銭支持率が25.1%と比較的高いのはオンラインでのライブチャットのみとなった。つまり、ライブ配信でのコミュニケーションによって支払いたい気持ちになる人が多いことがわかる。

 大学の講義の最中、128名の受講生を対象にアンケートを取ったところ、投げ銭機能を使ったことがあるのは全体の9%いた。500円以内が3%、1000円以内が2%、1000円以上も4%いた。10代において投げ銭がある程度利用されていることは間違いないようだ。

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