ソフトバンクは5月6日、楽天モバイルおよび同社元社員に対し、ソフトバンク退職時に同社から持ち出した営業秘密の利用停止および廃棄、これに加え約1000億円の損害賠償請求権の一部として、10億円の支払いを求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表した。
これは、ソフトバンクでネットワークの構築に関わる業務に従事していた元社員が、4Gおよび、5Gネットワーク用の基地局設備や、基地局同士・基地局と交換機を結ぶ固定通信網に関する技術情報などを不正に持ち出したとする問題。同社員は、2021年1月12日に不正競争防止法違反の容疑で警視庁に逮捕され、2月2日に起訴されている。
ソフトバンクによると、営業秘密として証拠保全を求めていた電子ファイルが、楽天モバイルが業務上利用するサーバー内に保存されており、他の社員に対して開示されていた事実を確認したという。一方で、楽天モバイルはソフトバンクに対し、これらの電子ファイルについて裁判所とソフトバンクに提出後、すべて破棄したと主張している。
ソフトバンクでは、今回の訴訟を通じて、不当な利益を得て同社の営業上の利益を侵害したこと、不正競争により建設された基地局などが存在することを明らかにすべく、不正競争防止法にもとづき下記の請求を実施するとしている。
一方、楽天モバイル側もコメントを発表。「当社では社内調査を実施してきておりますが、ソフトバンク株式会社の営業秘密を当社業務に利用していたという事実は確認されておりません」と、営業秘密の社内利用を否定。
同社広報部は、「訴状はまだ受け取っていないが、受け取り次第、司法に則って裁判で正当性を主張していく」としている。
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