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小国からユニコーン企業が次々に誕生--エストニア流の取り組み方

Kalev Aasmae (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年05月13日 07時30分
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 私たちの多くはこの1年間、自宅で仕事をせざるを得ない状況になっていたが、自宅にいながら、自ら創設したスタートアップのために何千万ユーロもの資金を調達したと言える人は、おそらくほとんどいないだろう。エストニアの企業家、Kaarel Kotkas氏はその珍しい1人だ。

 Kotkas氏は、本人確認サービスを手がけるスタートアップVeriffの創設者で、最高経営責任者(CEO)を務めている。Veriffは、ベンチャーキャピタルのInfinity Venture Partners(IVP)とAccelが主導する新しいシリーズBラウンドで6900万ドル(約75億円)を調達したことを4月に発表した。同社は2020年にも1550億ドル(約17億円)を調達している。

 「パンデミックが発生する前、私は6カ月間、英国や米国に滞在していた。だが、この1年間はエストニア国内にずっと滞在しており、タリンにある自宅の寝室兼オフィスから、シリーズBの資金を調達したようなものだ」。Kotkas氏は、そう語った。

 「この数カ月、私はサンフランシスコの時間帯に合わせて生活してきた。リードインベスターであるIVPとAccelがどちらもサンフランシスコを拠点としているからだ。タリン時間の午後6時に仕事を始め、午前4時に終えていた」(同氏)

 タイムゾーンの異なる遠隔地からすべてをこなすのは大変だったが、資金調達の主な原則が変わるわけではないと、26歳のKotkas氏は考えている。

 「しっかり準備をしておけば、それほど難しいことではない。Veriffでは、実際に機能するビジネスモデル、明確な長期戦略、そして強力なリーダーシップのチームが揃っている。また、Veriffの取締役会も本当に協力的で、人脈を活用して、資金調達のプロセスをより円滑なものにしてくれた」(同氏)

 本人確認は多くの業界で、あると便利なものからビジネスに不可欠なものになった。Kotkas氏によると、パンデミックに対処するようになったことで、新しいユースケースを支援できるようになったという。例えば、学生がリモートでの学習や、リモートと通学のハイブリッドでの学習を続けながら試験を受けている教育分野では、学習プロセスを継続し、また正当な成績評価がなされるようにするために、迅速な本人確認が非常に重要になってくる。

 「ワクチンが展開される中で、人々の健康状態の確認が重要になる医療分野や、旅行者を安全かつ迅速に確認する新しいアプローチを模索しているホスピタリティー業界でも、今後大きな成長が見込まれる」(Kotkas氏)

 Veriffは、この1年の厳しい経済状況にもかかわらず成長を続けるエストニアのスタートアップの一例にすぎない。

 2020年、エストニアのスタートアップは合計で4億4090万ユーロ(約580億円)の資金を調達したが、配車およびフードデリバリーのスタートアップであるBoltがその半分以上を占めた。具体的には、5月にNaya Capital Managementから1億ユーロを調達し、12月にD1 Capital PartnersとDarsana Capital Partnersからさらに1億5000万ユーロを調達している。

 多額の資金を調達したその他の企業には、フィンテックのスタートアップであるMonese(5500万ユーロ)、ウルトラキャパシターエネルギー貯蔵を手がけるSkeleton Technologies(4100万ユーロ)、サイバーセキュリティのスタートアップであるRangeforceとVeriff(どちらも約1400万ユーロ)などが含まれる。

 スタートアップを支援する政府のイニシアチブである「Startup Estonia」によると、2020年にはエストニアの計76社のスタートアップが資金を調達し、そのうち32社は100万ユーロ以上を調達したという。

 実際に、2021年の最初の数カ月の統計を見ると、2020年が異例な状況というわけではなかったようようだ。4月中旬の時点で、エストニアのスタートアップはすでに2億ユーロ近くの資金を調達している。これには、Veriffが調達した資金やデジタル・カスタマー・サービス・プラットフォームのGliaが調達した6400万ユーロも含まれる。

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