カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社であるTマネーは4月21日、同社の電子マネー「Tマネー」がApple Payに対応したと発表した。
CCCといえば、「Tポイント」が有名だが、こちらは加盟店での買い物で貯めたり、決済に使える共通ポイント。一方、Tマネーは「Tカード」や「モバイルTカード」にチャージして使える電子マネーという違いがある。Tマネーは、加盟店舗での現金チャージ以外にもクレジットカード、Tポイント、「Paidy」による後払いでのチャージに対応する。
今回、TマネーがApple Payに対応。「Tポイントアプリ」上でMastercardブランドのバーチャルカードを発行すると、Walletアプリに追加できる。非接触決済は「iD」と「Mastercard コンタクトレス」をサポート。これまで2.3万の加盟店で利用できたTマネーだが、iD対応により124万店舗に拡大。TマネーはTポイントからのチャージにも対応するため、実質的にTポイントが使える場所が増えることになる。
チャージ金額は、1000円単位で最大残高3万円まで。利用可能金額は、1円以上3万円まで。Tポイント加盟店以外でも、Tマネーを利用することでTポイントを付与。Tマネー月間利用額500円につきTポイント1ポイントが付与されるほか、Tポイント加盟店では、決済ポイントとショッピングポイントがダブルで貯まるという。
Tポイントは7000万人の会員基盤を抱える共通ポイントの大手であり、加盟店ネットワークを中心に経済圏を構築。3月31日には、住信SBIネット銀行の「NEOBANK」を利用したT会員専用の銀行サービス「T NEOBANK」もスタートさせている。今回のTマネーのApple Pay対応は、経済圏以外でもTポイントを使ってもらうことで、加盟店ネットワークを強化する狙いがある。
それが、CCCのメイン事業の一つである企業へのマーケティング支援だ。同社Tマネー事業部 部長の菊池泰氏によると、「データという観点から見ると、Tポイント加盟店のスーパーで1万円使っている人が、もう1万円を他のスーパーでどう使っているかが分かれば、リテールにより精緻なマーケティング支援ができる」という。CCCでは補助的扱いだった決済データをより本格的に利用することで、高度なマーケティング支援を提供する。
また、「消費者アンケートでも、Tポイントを広く貯められるようにしたいという結果が出ている。加盟店からしても、決済サービスとして使える先が広がる方がポジティブ」としたほか、「Tポイント経済圏外で、Tマネーが使われてTポイントの流通量が上がると、Tマネーとしてだけでなく加盟店でも使える。結果、間接的にTポイント経済圏に送客できる」と分析する。
さらに、Tポイントユーザーのキャッシュレス比率を高める役割も担う。同ポイントユーザーのボリュームゾーンは20〜30代と比較的若く、モバイルTカードというバーチャルカードをアプリで提供しているものの、Tポイントユーザーの75%が現金で商品を購入している。同社では、モバイルTカードを利用するユーザーに対し、加盟店以外でもTポイントが貯められることをアピール。移行促進のための、インセンティブやキャンペーンも企画予定という。
ポイント経済圏は、楽天やドコモなどが力を入れているが、Tポイントでは先行者メリットが生きてくる。Tポイント加盟店の場合、複数のポイントカードを導入していても、Tカードを提示する割合が高い店舗が多い。Tポイントカードのヘビーユーザーは、会員数7000万人のうちの2割ほどを占めているが、この層にTマネーを利用してもらうことで、現在は600万口座ほどのTマネー会員基盤を数千万規模に伸ばす計画だ。
なお、TマネーのApple Pay対応に関して、三井住友カードと連携。現在の124万店舗に加えて、決済ゲートウェイ事業者を介したり、Tポイント提携事業者と共同で、利用可能な店舗の開拓を進める。今後は、複数のチャージ手段に加え、利用可能店舗数も多く、独自の経済圏を超えた、広くTポイントが貯められる世界を実現したいとしている。
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