「Robinhood」、株取引のゲーム化で批判--株価の乱高下や若者の自殺も

Richard Nieva (CNET News) 翻訳校正: 矢倉美登里 吉武稔夫 (ガリレオ) 編集部2021年02月01日 13時25分
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 GameStopの株価乱高下をもたらした株取引アプリ「Robinhood」は、長いこと物議を醸してきた。手数料無料のこのサービスがニュースの見出しを飾ったのは最近のことだが、それ以前も、株取引のリスクを過小に扱い、若者や新規投資家を引き込もうとして複雑な金融商品をゲームのように見せているようなものだと批判されてきた。

Robinhood
提供:Getty Images

 そうした戦略が悲劇的な結果をもたらしたこともある。2020年6月、大学生だったAlexander Kearnsさんは、Robinhoodアカウントが73万ドル(約7600万円)のマイナスになっているのを見て自殺したが、取り引きの一部はまだ完了していなかった。同氏は遺書でRobinhoodの名前を挙げ、これほどのリスクをなぜ背負わせたのかと疑問を呈した。

 遺書には次のように書かれていた。「収入の無い20歳の人間に、どうしてほぼ100万ドル相当のレバレッジを供与できるのか? これほどのリスクを背負うつもりはなかった」

 Kearnsさんのような株取引の初心者がRobinhoodにはまる仕組みは、わかりやすい。Robinhoodは、シリコンバレーのグロースハック戦略を利用して、ユーザーの注目を集めている。取り引きが完了すると画面に紙吹雪が舞い、さらなる取り引きを促す。新規会員は、サインアップ時に1株を無料で貰える。ゲームの興奮と、ソーシャルメディアの群集心理(「Reddit」のフォーラム「r/WallStreetBets」は、バーチャルな井戸端会議場として最近の動きを煽ってきた)を組み合わせているのだ。不振に喘ぐビデオゲーム販売業者の株に取り引きが殺到して、2週間で800%以上値上がりするケースもあった。

 カリフォルニア大学バークレー校情報大学院のCoye Cheshire教授は、(AMCやKossなどの株式が巻き込まれた)株式市況がどうなるかは誰にも分からないと述べている。しかし、r/WallStreetBetsに押し寄せたユーザーたちの標的となった大手ヘッジファンドが大きな損失を被るのなら、多くの一般人もそうなりかねない。

 「このアプリは(株取引を)楽しく簡単なものに見せているが、市場は非常に複雑だ」「これには危険がある」(Cheshire教授)

 Robinhoodにこの記事についてコメントを求めたが回答は得られていない。同社は、スタンフォード大学のルームメイトだったBaiju Bhatt氏とVladmir Tenev氏が2013年に設立した。このアプリは手数料無料のオンライン株取引の草分けで、「金融の民主化」をミッションに掲げている。Robinhoodのアプリはこの精神に重点を置いて作られており、株式市場での取引経験がほとんどない人に対して訴求力がある。

 トレーダーはアプリを利用し、スワイプして株の購入を確定させたり、通知を受け取ったり、市場のニュースを読んだりできる。Robinhoodは2020年5月、アカウント数が1300万件を突破したことを明らかにしている。

 最近の株式市場の混乱を受けて、Robinhoodは米国時間1月28日にGameStop株やAMC株などRedditユーザーのターゲットにされた銘柄を取引停止とした。民主党のAlexandria Ocasio-Cortez下院議員と共和党のTed Cruz上院議員を含む両党の議員は、小規模な投資家に不利な措置だと非難したが、Robinhoodは後にこの対応について、「リスクマネージメントのための決定」だと述べた。

 金融業界に厳しい姿勢を取ることで知られるElizabeth Warren上院議員(民主党、マサチューセッツ州選出)は28日、CNBCとのインタビューで株式取引のゲーミフィケーションに伴う危険を指摘し、「『われわれに加われば褒美をあげよう』と煽るRobinhoodのような企業」を厳しく批判した。Warren氏はまた、こうした企業がユーザーに対し、問題を公表しないことを求める仲裁契約への署名を義務づけていることを批判し、「それでは健全な市場は生まれない」と述べた。

 同社は既に政治家や米証券取引委員会(SEC)からこの数カ月にわたり厳しく批判されている。Kearnsさんが住んでいた地区から選出されたSean Casten下院議員はSECの委員長に対し、Robinhoodアプリ上の交付書類は株式取引のリスクを十分に説明していないと訴えた。その後も、収益源を適切に開示しなかったとしてRobinhoodはSECに6500万ドル(約68億円)の和解金を支払っている

 新型コロナウイルスのパンデミックはRobinhoodの人気拡大には純粋にプラスに作用した。人々は自宅で時間を持て余しており、多くの人が職を失った。楽しくお金を儲けられるという謳い文句のアプリは魅力的に映る。

 GameStopの株価急騰とともに、Robinhoodのアプリのダウンロード数も急上昇している。米国では一時、Appleの「App Store」とGoogleの「Google Play」の両方で無料アプリ部門のダウンロード数1位となった。Robinhoodがゲームだとするならば、ますます多くの人が遊ぼうとしている状態だ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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