2018年5月、レノボ・富士通のジョイントベンチャーとして設立された富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は、1月25日に設立1000日目を迎えた。
レノボ傘下となった今も「富士通FMV」ブランドでの販売を継続しながら、世界屈指のレノボの調達力とスケールメリットを生かし、事業展開を進めてきた。具体的にどのように1000日を歩んできたのか。オンライン発表会「FCCL DAY1000 Memorial Reception(DAY1000)」を開催。事業の再編やコロナ禍を背景に企業カルチャーを変革し、AIアシスタント「ふくまろ」を活用したデジタルディバイドを解決する新サービスのプレテストの模様、今後の事業展開などについて紹介した。
FCCL 代表取締役社長の齋藤邦彰氏は、約40年間に渡ってPC、ワークステーション、IoTの製品サービスを提供してきたことを振り返りながら、「FCCLのフィールドは広がっている。現在、これからの社会課題を見据えたときにコンピューティングがやることはまだまだある」と意気込みを見せた。
現状について、「コロナ禍におけるニューノーマルライフで働き方や働く場所が変化し、価値観も大きく変わった。PCも、仕事の時間と個人の時間の垣根がなくなってきている。そしてオンライン化が加速する一方で、オンライン生活に関するお客様の困りごとも増えている」と説明する。
FCCLの環境や企業カルチャーも改革した。新川崎に本社、田町に東京オフィス、武蔵中原にR&D開発センターの3拠点を持つ。これらの3拠点を相互に連携。特に配慮したのは、エンジニアのコミュニケーションという。
新川崎の各フロアにはカウンターテーブルを設け、あえて周囲から見えるところで「最軽量PC検討会」などの開発会議を実施するようにし、直接の担当でなくても情報が目に入るようにし、ほかの開発に口を出すことも自然に起きるようにし、開発の活性化図った。
そうした中でコロナ禍が起き、FCCLも出社を必要最低限におさえ、テレワークが中心となっている。そうした中でも開発を止めず、従来とは大きく異なる環境の中でも世界最軽量のPCとなる634gの超軽量13.3型ノート「LIFEBOOK UH」が生み出せたという。
ITやPCを活用した生活のプロフェッショナルであるFCCLの社員の工夫は、顧客への提案にもつなげられる。新川崎本社に、情シス部門の精鋭メンバーで構成した社員向けのITサポートサービス「TechPit」を設置。
端末の手配から社員の通信環境の整備、社員の出社状況、PCの利用状況などをデータで把握することによって、在宅ワークのルール構築などをし、かなり早い段階から安定した在宅ワークができたと説明した。
FCCL社員の困りごとや問い合わせは、商品企画やサポート、開発などにも共有され、製品開発の向上につなげているという。
「ネットで先行予約」「PC、スマホからなら○%オフでお得」「続きはウェブで」「ネットなら簡単」――そうしたキーワードが飛び交う昨今。コロナ禍で加速するオフラインからオンライン化へのシフトは、そうした環境を使いこなせるかどうかによって生活のしやすさに格差も生まれている。
コミュニケーションの方法や質が変わってきていることを受けて、FCCLは「デジタルが苦手なお客様に、徹底的に優しいサービスを提供する」とし、現在開発中のサービスを説明した。
PC内にいるアシスタントキャラクターのふくまろと会話することで、ユーザーのリクエストを整理した後、ベテランのオペレーターにつなげて画面共有をしながら効率よく作業を進められるというもの。今もオペレーターサービスはあるが、オペレーターと画面が共有されるまでに時間がかかるなど十分ではないとした。
FCCLは今後も、富士通パソコンFMVをはじめとしたコンピューティング技術を通じて多様化するニーズにいち早く対応し、「世界一、お客様に優しいコンピューティング会社」として成長、発展し続けるとした。
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