「トランプ氏に投票しなければ報復」--脅迫メール、米政府はイランの関与を明言

Catalin Cimpanu (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2020年10月22日 13時45分

 米司法省が米国時間10月22日に開催した短い記者会見の中で、政府高官らは今週前半に米国の有権者に送信された一連のメールについて、イランの関与によるものだと主張した。

 大統領選挙を控える米国では今週、民主党支持の登録有権者のもとに過激派組織「Proud Boys」の名をかたるメールが送られた。メールにはDonald Trump現大統領に投票しなければ報復することをほのめかす文言が書かれていた。

送られたメール
提供:Proofpoint

 メールの送信者は「米国の投票インフラへのアクセスを獲得した」と主張しているが、今回のメールは米国の有権者登録データベースを使って、アラスカ州、アリゾナ州、フロリダ州の民主党支持の有権者に送信されたとみられている。

 スパムキャンペーンを追跡しているEメールセキュリティ会社Proofpointによると、一連のメールは20日と21日に送信された。

 21日に送信されたメールには脅迫メッセージと合わせて、ある人物が他人の情報で投票する様子を映したとする動画へのリンクも含まれていた(Proofpointの報告書では動画のコピーを閲覧できる)。この動画は米国の複数のニュースメディアにより、虚偽であることが確認されている。

 脅迫メールをめぐる報道が過熱する中、Christopher Wray米連邦捜査局(FBI)長官とJohn Ratcliffe米国家情報長官は記者会見で、一連のスパムキャンペーンはイランによるものだと発言した。

 またRatcliffe氏は「(メールで共有された)動画の情報は真実ではない」と述べた。

 同氏はさらに、イランだけでなくロシアも「われわれの選挙に関する世論に影響を与えようと具体的な行動に出ている」と語り、「ロシアによる同様の介入はまだ確認されていないが、ロシアが有権者登録情報の一部を入手したことは認識している」とした。

 両長官は米国民に対し、冷静さを保ち、今後同様のメッセージを受け取っても拡散しないよう呼びかけた。

 今日の記者会見では具体的な証拠は示されず、両長官が短い声明を述べるにとどまった。

 米ZDNetが22日、複数のサイバーセキュリティ企業に取材したところ、今回のメールがイランによるものだと確認したという情報は得られなかった。しかし、各社の広報担当者はその可能性も否定しなかった。

 Mandiant Threat Intelligenceの上級分析担当ディレクターであるJohn Hultquist氏は米ZDNetに対し、「イランは少なくとも8年前から情報活動を展開している。その内容は、今やフェイクニュースサイトやソーシャルネットワーク上での活動にとどまらず、ジャーナリストになりすましてビデオ取材を申し込み、論説を掲載するといった大がかりな内容へと広がっている。米国の政治家になりすましたことさえある」と語った。

 「これまでのイランの情報活動は、イランを支持するメッセージを増幅させ、サウジアラビアやイスラエルの批判、イラン核合意の支持といった、イランにとって都合のいいメッセージを世界に拡散することを目指すものだった」と同氏は指摘する。

 「今回は違う。これは米国の民主主義に対する意図的な干渉であり、重大な一線を越えるものだ。私は情報当局が今日、イランに勝利したと考えている」(同氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]