日本電信電話(NTT)は9月29日、モバイル通信事業を手掛けるNTTドコモを完全子会社化すると正式に発表した。公開買い付け日は、9月30日から11月16日まで。買い付け総額は約4.3兆円。すべての株式を取得できなかった場合は、株式譲渡請求などを通じて今年度内での完全子会社化を目指す。
NTT代表取締役社長の澤田純氏は、完全子会社化に関する会見にて「グローバルプレーヤーや通信レイヤーの多面的・多層的な市場環境、コロナ禍でのリモートワールド・分散型社会が基本となるなかで、ニューグローカリズムが台頭する大きな社会変化が想定される。NTTグループとして、グローバルレベルのダイナミックな経営環境に対応する必要がある」と説明。新サービスの提供、リソースの集中・最適化、6GやIOWNの研究開発の促進、スマートライフ事業などの新規事業開発という4つの視点でドコモの完全子会社化に至ったという。
澤田氏は、子会社化の目的として「ドコモの競争力強化と成長」を挙げる。今回の子会社化に合わせて、NTTドコモとNTTコムウェア、NTTコミュニケーションズとの連携を強化。グループ会社の能力を生かし、新たなサービスやソリューション、6Gを“移動固定融合型”で推進するとしている。ドコモを上位レイヤーやビジネスまで含めた総合ICT企業に進化させることで、ドコモを中核企業としてNTTグループ全体の成長を目指す。なお、NTTコムウェアとNTTコミュニケーションズをNTTドコモグループに移管する方向性も検討しているものの、NTTデータについては統合の予定はないとしている。
NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏は、「社会の変化と5G時代のお客様ニーズに合わせて、ドコモ自ら変革し、さらなる成長を実現するためのもの。ドコモはすべてのお客様のフロントとして、多様化するニーズにトータルで応える存在になる」と述べた。コスト削減することで安価なネットワークサービスを提供しつつ、6GやIOWNを見据えた研究開発をNTTと連携強化。基礎研究成果を早期に実装できるようにしたいとしている。
なお、今回の子会社化におけるNTT分割論について澤田氏は、「分割論は東西の話。コムは完全に自由な民間会社であり、コムとコムウェア、ドコモの連携や組織的な吸収は、今言った文脈は初めて。かつてのような状況、分割をもと戻すとは意味が違うと考える」と答えた。
また、他社との競争についても「NTTドコモはシェア40%。他社が30~20%台。NTTグループがとても大きくて他社が小さいという数十年前の市場ではない」とし、「NTT東西がドコモのために供与することは法律でダメ。ただ、私の認識はNTTドコモが100%化される、NTTコムやコムウェアと連携を深めるのは、法制度で何かいけないということはないという認識」と説明した。
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