デジタルプライバシーの侵害がこの20年ほどで懸念されるようになり、データを収集する行為を懐疑的にとらえる健全な感覚が育ってきた。だが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生したことで、これまで以上に人々がテクノロジー企業を信頼する必要があると保健当局は考えているようだ。一部の米議員は、新型コロナウイルス感染症関連の医療データを規制する法案が有用だと主張し、景気刺激策の第2弾に法案を盛り込むよう求めている。
米上院議員13名は米国時間7月28日、連名で上院多数党院内総務らに宛てた書簡を公開し、現在議会で審議されているPublic Health Emergency Privacy Act(PHEPA:公衆衛生緊急プライバシー法)を今後の新型コロナウイルス感染症関連の景気刺激策に盛り込むよう求めた。この景気対策では、パンデミックによって生じた財政難に対処するため、約1兆ドル(約105兆円)を投入することが検討されている。
このプライバシー法案は5月に提出された。新型コロナウイルス感染症対策のために収集される個人情報について、公衆衛生サービスのみに目的を限定し、テクノロジー企業が他の目的に転用してはならないとされている。
法案では、公衆衛生を扱う場合、政府機関のみがデータを使用できるとし、データセキュリティ基準を義務づけることで、機密情報を収集する企業がデータを適切に保護するようになるとしている。公衆衛生上の危機への対策に取り組むテクノロジー企業は、位置情報データや生体認証情報などの機密情報を求めてきた。
AppleとGoogleは、新型コロナウイルス感染者接触追跡用ツールを5月20日にリリースしている。この1週間ほど前に、Mark Warner上院議員(民主党、バージニア州選出)とRichard Blumenthal上院議員(民主党、コネチカット州選出)は法案を提出した。
28日に公開された書簡では、「調査では一貫して、米国人がプライバシーの懸念から、新型コロナウイルス感染症のスクリーニングや追跡アプリの導入に消極的であることが示されている。医療に関するプライバシーが十分に保護されなければ、このウイルスを封じ込め、安全に再開する取り組みを大きく損なう可能性がある。特に、多くのスクリーニングツールは有意義なメリットをもたらすために、普及させる上で最低限の人数が必要になる」と説明されている。
Warner氏とBlumenthal氏のほか、Elizabeth Warren議員、Ed Markey議員、Kamala Harris議員、Amy Klobuchar議員、Cory Booker議員らも書簡に署名している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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