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シリコンバレー発、体験型ショップ「b8ta」日本上陸--小売の新形態“RaaS”の先端走る

山川晶之 (編集部)2020年07月29日 21時00分
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 ベータ・ジャパンは7月28日、最新ガジェットやアパレルが体験できるリアル店舗「b8ta」を日本で展開すると発表した。8月1日に、新宿マルイ本館1階、有楽町電気ビル1階の2店舗をオープンする。

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 b8taは、米パロアルトからスタートし、スタートアップや大手企業の新規事業プロダクトなど、最新のガジェットやアパレル、フードなどが集結するアーリーアダプタ向けのショップ。オンラインに出店するレベルの手軽さで一等地に店舗を構えるb8taショップに出品でき、店舗の施工費や運営費などのコストと、オペレーション費用を低く抑えることができる。特に、D2Cブランドがオフラインのプレゼンスを上げようと、ブランドイメージを維持したままリアル展開したい場合など、出店の取っ掛かりとして利用することができる。

 同店舗の大きな特徴は、ブラントや商品と来店客をつなぐ役割は当然のこと、プラットフォームを使ったオンライン完結型の出品準備、販売を主体としない店舗スタイル、来店客の行動データ計測をサブスクリプションで提供することにある。出品コストは、1店舗1商品にあたり月額30万円(最低契約期間は6カ月)が必要になるが、店舗は新宿と有楽町の一等地にあり、1日換算1万円で出店できると考えるとリーズナブルといえる。ガジェットファン以外に通りすがりの来店客も多く見込め、ベータ・ジャパンカントリーマネージャーの北川卓司氏は、9割以上がこうした「ふらっと立ち寄る客」になるだろうと語る。

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b8taが提供する4つのソリューション
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有楽町店の様子
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ポップや什器はなく、商品と説明用タブレットのみのシンプルな構成

 店舗はシンプルで、什器やポップなどは置かず、製品とその横にタブレット端末を設置。製品情報や紹介動画、ギャラリー写真などをすべて確認できる。タブレットの情報は、専用のダッシュボードで管理でき、情報をアップデートするとすぐに店舗側に反映される。また、特定のメーカーのみを集めた専用スペース「エクスペリエンスルーム」も用意されている。こちらは、よりブランドの世界観を意識した空間づくりが可能。有楽町では、Google、カインズ、GROOVE X(LOVOT)、新宿ではECサービスを手掛けるBASEが入居する。取扱商品数は145を超え、新宿、有楽町それぞれでラインアップも異なる。

 出品準備は、オンラインで完結する。企画から出品、運用まで約4週間で開始できるほか、ダッシュボードでは、先述の製品情報以外にも在庫管理や店舗でのパフォーマンス管理も可能。b8taが扱う競合製品と来店者の行動データの各種指標を比較することもできる。さらに、体験にフォーカスするため、店舗スタッフ(同社ではb8taテスターと呼ぶ)への教育も重視。取り扱う製品の知識だけでなく、その企業のビジョンまで網羅するという。マネージャーは、クイズのような専用ツールでテスターの製品理解度を計測でき、テストにクリアしなければ店頭に立てない徹底ぶりだ。

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出品準備から運用開始まで4週間

 来店者の行動データも細かく計測する。入口には年齢層と性別を識別するデモグラフィックカメラ(プライバシーに配慮しRAWデータは残さず数値に変換)が設置され、店内の行動動線や製品の前で立ち止まった人数(=商品の前で5秒以上立ち止まると関心があると判定する)を検出するAIカメラ、b8taテスターが商品説明をした回数、b8taテスターが集めたユーザーからのフィードバックなどのデータを収集。「ユーザーの声が届きにくい」という小売が抱える問題を解決し、企業のマーケティング施策や製品の改善に結びつける。

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ダッシュボードでさまざま来店者データを確認できる
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来店者の男女比率、年齢、ストア内のトラフィックなどがダッシュボード上で確認可能

 ショップなので、その場で商品を購入することもできるが、あくまでも製品の体験が主体の店舗であり、マネタイズは月額のサブスクリプション費用が柱となる。オンラインのみで出店準備ができる簡便さ、約4週間で商品が店舗に並ぶスピード感、顧客との接点が持てる立地、十分な知識を持つb8taテスター、マーケティングや製品の改善に生かせる来店客データの提供など、こうした小売プラットフォームをb8taでは、「RaaS(=Retail as a Service)」と呼んでいる。

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「RaaS」は旧来の小売の課題を解決できる可能性を秘めているという

日本進出の理由は「日本人はガジェットが好き」

 日本に進出した理由として、日本人の“ガジェット好き”が大きく影響しているという。b8taの店舗は2015年に1号店がオープンしたが、2016年ごろから日本人がb8taについてTwitter上で語っていることを察知したという。さらに、店舗スタッフが来店した日本人とコミュニケーションするうちに、日本人がガジェットが好きで、視察でb8taに来店することが判明。日本への進出にニーズがあると判断したという。さらに、製品や品質への感度が高い日本で成功させることで、アジアでの横展開も見据える。

 日本上陸に際し、丸井、三菱地所、カインズがベンチャーキャピタルを通じて出資。凸版印刷も直接b8taに出資している。丸井代表取締役社長を務める青野真博氏は、「(b8taには)2016年に初めて行ったが、こんなショップがあるのかとびっくりした。アメリカでは小売の未来を象徴する店としてものすごく支持され、尊敬されている店」と評価したうえで、「今のままでは小売ビジネスは難しくなると思っている。当然新型コロナもそうだが、いつでもどこでもスマホで買い物ができてしまう。リアル店舗の価値って何だろうと考えさせられることが多くなってきた」と小売の現状を説明。

 また、「個人や中小企業、スタートアップが新しい製品をどんどん開発してやりたいことを表現する。そういった方々が気軽に、新宿・有楽町の一等地に商品をお披露目できる場所があるというのは素晴らしいプラットフォーム。b8taと一緒に、新しい小売の姿を示したい」と語った。

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