Telexistenceは7月21日、遠隔操作ロボット技術を核にした、小売業界におけるAugmented Workforce Platform(拡張労働基盤:AWP)の構築を可能にするロボット「Model-T」を開発したと発表した。
同社は、「テレイグジスタンス」と呼ばれるロボットを分身のように遠隔操作する技術を開発しており、過去にKDDIなどから大型調達を実施している。Model-Tでは、主に工場内でしか見ることのないロボットを、より人間の生活領域に近い場所に廉価で普及させることを目指しており、モデル名も一般社会に自動車を普及させた米フォードの「T型フォード」から着想を得ているという。
Model-Tでは、コンビニなど狭い小売店舗空間内で商品陳列できるよう、ロボットの胴体・アームに22自由度の関節を実装。人間のように作業可能なため、店舗環境の改修を最小限に抑えられる。また、多種多様な形状の商品を把持するために特化したロボットハンド「Andrea-Yamaura End Effector」を開発。真空吸引と2指グリッパーの組み合わせを1つのロボットハンドで実現しており、商品ごとのロボットハンドの取り替えが不要という。
さらに、ロボットと操縦者間の映像伝送において、ロボット側のカメラから操縦者側のディスプレイに表示されるまでのEnd-to-End遅延として50ミリ秒(H.265/HEVCを用いたEnd-to-Endの遅延として業界最高水準)を実現。視覚と身体感覚との操作のずれをほぼ感じることがなくなり、動きの速い対象物に対して正確な操作や身体的直感に即した操作が可能としている。
これにより、小売業界において作業工数が大きく、人間への負担も重い商品陳列業務を遠隔化・自動化することで、インターネット環境があれば、安全かつ場所を問わず店舗スタッフがロボットを通じて就労できる、新しい店舗オペレーション構築を実現するとしている。
同社によると、まずはコンビニエンスストア業界向けに実装を進める予定で、ファミリーマートとローソンが導入。ファミリーマートでは、2020年夏ごろを目処に都内店舗で実験的な商品陳列を開始するほか、ローソンとは「ローソン Model-T 東京ポートシティ竹芝店」にて商品陳列業務を日常的に実施する予定としている。さらに今後、国内外のスーパーマーケットなどその他の小売りセグメントへの導入も推進するとしている。
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