三菱地所グループのマンションの総合管理会社である三菱地所コミュニティは7月1日マンション自主管理アプリ「KURASEL(クラセル)」を発表した。管理会社に業務を委託せず、住民が簡単に自主管理できる新たなサービスを目指す。利用料は月額3万5000円~、11月に提供を開始する。
提供、運営は、マンション管理事業などを手掛ける三菱地所コミュニティから新設分割によって設立した新会社「イノベリオス株式会社」が手掛ける。
三菱地所コミュニティでは、50年にわたりマンション管理を手掛けてきたが、近年は管理コストの削減や、修繕積立金不足、マンションの役員の担い手不足といった課題が出てきていたという。イノベリオス 代表取締役社長執行役員の長谷川良裕氏は「マンション管理は、労働人口の激減にともなう人件費高騰により、管理組合が負担するコストが増加傾向にある。住民も高齢化し、コストアップすると大幅な資金不足が生じる。このままでは適切なマンションの維持管理ができず、管理不全のマンションが増加する懸念がある。日本のマンション管理のあり方を見直す時期だと考えている」と現状を説明した。
KURASELは、所有者・居住者情報、修繕・保険等情報管理、共用部利用状況管理などの「基本」、理事会チャット、資料保管などの「理事会」、収支状況、滞納状況・督促などの「会計」の3つの機能から構成され、理事会役員がスマートフォンやPCから簡単に業務をこなせるというもの。
三菱地所コミュニティが持つマンション管理の知見を活用し、要件定義、企画、デザイン、システム開発、構築は、アプリの企画開発などを手掛けるアルサーガパートナーズが担当した。
イノベリオス 取締役常務執行役員の安藤康司氏は「マンションの管理には『総会・理事会』『会計』『建物維持修繕』と大きくわけて3つの機能があるが、KURASELは総会・理事会と会計部分を担うサービス。この部分を管理会社に委託せずKURASELを使って自主管理することで、管理会社がいなくてもマンション管理が円滑にできる。事前のシミュレーションでは、管理会社に委託する時に比べ、年間200万円程度のコスト削減につなげられるという結果が出た」とKURASELを紹介する。
現在、マンション管理組合は国内に10万2000程度あると見られ、そのうち自主管理を実施しているのは1割程度。「まずは、その1割の組合の方たちに使ってもらえるようにしていきたい」と安藤氏は説明する。
対象になるのは総戸数70戸以下の中小規模マンションで、総戸数200戸超は月額料金が5万円になるとのこと。「新築のマンションは管理契約まで含めて建設されるケースがほとんどで、自主管理を導入することは難しい。既築マンションへの導入をまずは考えている」(安藤氏)とターゲットを見据える。
イノベリオスでは、KURASELを中心に事業を進めていくとのこと。5年後には売上12億を目指す計画としている。
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