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法律相談もサブスクの時代に--月額5万円からの定額法律サービス「TOPCOURT」

山川晶之 (編集部)2020年04月28日 17時45分
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 TOPCOURT LAW FIRMは4月27日、サブスクリプションモデルの法律相談サービス「TOPCOURT」を提供すると発表した。

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左から3人目の人物がTOPCOURT LAW FIRM CEOの伊澤文平氏

 法律事務所や弁護士業務は、労働集約型産業と言われており、報酬体系がタイムチャージなのが一般的。労働時間に応じて報酬が増額されるため、実際の報酬が契約時の想定と大きく乖離しているケースも少なくない。さらに、資料管理から顧客情報、連絡方法までデジタル化がほとんど進んでおらず、時間あたりの生産性も低いため、余計にコストが発生する構造になっていると言われる。

 同法律事務所でCEOを務める伊澤文平氏は、従来型の弁護士サービスを「労働が長くなるインセンティブが働く。労働集約モデルを取っている限り、クライアントのためにならない」と語る。また、業務のデジタルトランスフォーメーションは全く進んでおらず、SaaSなどもほぼ導入されていないという。

 こうした従来の弁護士業務のビジネスモデルを、労働集約型からプラットフォーム型に転換しようとするのが、TOPCOURTのサブスクリプションモデルだ。AIやRPA、CRM(顧客管理システム)などを活用し、請求書の発行や契約書の作成などシステムに代行してもらうことでオペレーションコストを低減する。

 弁護士はクライアント業務などの非定型業務に注力できるほか、タスクを定量化することで、売上が立てやすくなる。業務効率化により、サブスクリプションサービスとしての提供が可能になった。なお、ここで登場するAIは、あくまで弁護士の業務をサポートするためのものであり、主役は人間の弁護士だ。伊澤氏によると、「AIはまだ万能薬ではない。日本語とのかみ合わせの悪さから、契約書作成などは精度が低い」とのこと。

スタートアップ特有の問題点と法律家の関わり方

 伊澤氏は、業務効率化以外にも、法律家がスタートアップのビジネスと向き合うときに生じる問題点を指摘する。スタートアップのビジネスモデルは革新的であるために法律の規制を受けやすい。その規制を乗り超えて社会に実装するためには、法的な視点のみならずマネタイズや起業家の想いを踏まえたモデルを提案しなければならない。しかし、保守的な意見をもらうことが多く、結果として起業家のやりたいこととは全く違うモデルになってしまうことが多いと語る。法律家には、事業にアクセルをかけるという視点と、スタートアップ特有のビジネスへの理解が求められると伊澤氏は強調する。

 こうした弁護士サイドの経験不足を、起業家をタッグを組むことでTOPCOURTでは解決を図る。事務所内にはVCや起業家メンバー、エンジニア(CTOは2名在籍)、マーケターなどIT企業出身者を抱えており、起業家が悩むポイントが把握しやすい体制を構築している。なお、伊澤氏自身も起業家であり、養育費の回収サービス「iCash」の立ち上げにも関わっている。

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TOPCOURTが提供する価値は主に3つ

 また、業務効率化で生まれた“余白”を使い、単なる法律サービスだけでなく、アイデアやKPI設定、事業計画、資本政策、シリーズA以降のファイナンスなど「Chief Legal Officer」として、スタートアップの経営に参加することも可能としている。さらに、将来的には法律サービスに軸足を置いたベンチャーキャピタルの組成も狙っているという。

プランは5種類

 プランは、法律相談、ソリューション提供の法律アドバイスを30分5000円(唯一のタイムチャージプラン)で提供するほか、ライトプランが月額5万円。月額10万円の「ベーシックプラン」、月額20万円の「スタンダードプラン」、月額50万円の「プレミアムプラン」をラインアップする。

 ライトプランでも、顧問表記・雛形ダウンロード、ビジネスモデル構築、VCからの資金調達、法律相談、契約書レビューが含まれる(各種回数制限あり)。プレミアムプランでは、これに加えて、契約書作成、利用規約などの作成、アクセラレータープログラムへの無料参加権、CLOの出向(週8時間)が利用できる。

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提供する料金プラン

 実は、こうしたデジタル時代に合わせた法律サービスを提供する例はすでに存在しており、Twitchの創業者であるジャスティン・カン氏が立ち上げた米Atriumなどが有名だ。過去に70億円以上の大型調達も行っていたのだが、現在では閉鎖している。

 TOPCOURTも同様のビジネスモデルだが、伊澤氏はAtriumが失敗した要因として「VCと法律事務所の経営スピードが合わなかった。大型調達だったので、ファンド側の期待値が高すぎた」と分析したほか、ジャスティン・カン氏が法律家ではなかったこと、弁護士の報酬を考えるとサービスのプライシングが安すぎたことなども影響したようだ。

 ただし、Atriumのビジネス自体は「やっていることは正しかった」と評価する。TOPCOURTでは、起業家と法律家の視点を組合わせて、法律事務所ではなく「リーガルテック」企業を目指すという。サブスクリプションモデルを軌道に乗せることができるか、今後に期待したい。

【4月29日15時50分追記】

伊澤氏より訂正依頼があったため、一部本文の表現を修正しました。

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