Airbnbは4月9日、オンラインを使った“体験”を提供すると発表した。シェフ、アーティスト、ウェルネスと現地で、対面で提供していたアクティビティをオンラインに変更し、新たな楽しみ方を提供する。
新型コロナウイルス感染拡大を受け、Airbnbではキャンセルオプションを用意するほか、ホストと提携し、10万人の医療従事者や医療救護活動従事者、救急隊員に宿泊先を提供するサポートを実施。3月31日には、2億5000万ドル(約270億円)のホスト救済基金を発表するなど、数々の支援策を打ち出してきた。
宿泊先探しとともに、ユーザーに利用されている「体験」サービスは、地元の人と一緒に料理をする「クッキング」や動物と触れ合える「アニマル」、現地ホストが行き先などを提案する「アドベンチャー」など人気コンテンツを多数そろえるが、新型コロナウイルスの影響により、現在は一時休止状態。現時点では4月30日まで休止すると発表している。
オンライン体験は、今までリアルで実践していた体験をオンラインに置き換え、家でも楽しめるようにしたもの。「僧侶と一緒に瞑想」「チェルノブイリに生きる犬たちとのふれあい」「モロッコ人家族によるクッキング教室」など、30カ国以上の50にもわたる体験が今後提供される予定だ。その1つである僧侶と一緒に瞑想を体験した。
僧侶と一緒に瞑想は、大阪府でリアルイベントとして提供しているもの。20年近く僧侶として活動するKuniatsu氏がホストを務め、すでに4000人近いゲストを迎えている。Kuniatsu氏は、12年間四天王寺で働き、現在は寺などには属さないフリーランス僧侶として活動する。瞑想体験は2018年3月から大阪で提供しており、800件以上のレビューを集め、平均スコアは4.97という人気ぶりだ。
リアルの体験では、早朝の大阪城や昼間の京都、夜はろうそくを使った瞑想など実施しており、1回につき約20人を受け付けている。基本的に外国人旅行客に提供しているため、会話はすべて英語だが、今回は特別に日本語での解説となった。
体験は約1時間。瞑想は同じ単語を20分程度繰り返すことでエンドルフィンを出し、スイッチをオンにするとのこと。Kuniatsu氏は「これはランナーズハイのようなもの。ランナーズハイに到達するのは1時間くらいかかるが、同じ単語を声に出して繰り返すと約20分程度で同じような効果が得られる」と説明した。
また呼吸についても「意識していないが、私たちの1日の平均呼吸数は約2万回。普段は自然に呼吸できているが、苦手なところだったり、新しい体験などをすると呼吸は早くなる。その時に深呼吸をすると落ち着いてくる。それだけ大切なもの」と説いた。
瞑想体験では「OM BALADA HANDOH MAY UN」とマントラを唱えることからスタート。「フランスのミュージシャンががん細胞に音と聞かせて反応を見る研究をしたところ、最も効果的だったのが人間の声だった」とKuniatsu氏は話し、声が持つパワーを紹介。そのほか、座禅で足を組むのは2つの膝と尻の3点で体を支え、集中しやすくするためとし、椅子に座っている場合は足を開いて、3点で座ることを意識したほういいなどのアドバイスがあった。
約20分唱えたマントラは、ゆっくりのペースで始まり、徐々にリズムが出て早くなっていく。瞳は半眼の状態にしておくとよく、これでリラックと睡眠の間のような状態になるとのこと。Kuniatsu氏は「仏像のほとんどは、この世とあの世を同時にみるからこの半眼の状態」と付け加えた。
マントラを唱えた後は、呼吸の練習。長く息を吐くことに集中するのが大事だとのこと。今回は時間の制限もあったため5分間で呼吸を整えた。
はじめての瞑想体験に加え、オンラインという状況だったが、終えてみるとか心身ともにすっきりとした印象。10名程度をオンラインでつないでの体験だったが、Kuniatsu氏から質問を投げかけられ、それに答えたり、質問ができたりと双方向のコミュニケーションで楽しめた。途中、眠ってしまうような心地よさもあった。
今回のオンライン体験は、人と人がつながり、バーチャル旅行を楽しめる機会の提供を目的にスタートしたもの。これに加え、Airbnbでは、ホストの収入維持を可能にするための新たな取り組みとしており、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるホストたちへのサポート施策としても打ち出す。
このほかにも、オリンピックメダリストのアリスター・ブラウンリー氏(トライアスロン、英国)やローレン・ギブス氏(ボブスレー、米国)など、世界30カ国以上から著名のホストが登場するなどの企画も用意。ゲストは自宅のリビングルームで、世界有数のアスリートと一緒に時間を過ごせる。
Airbnbでは、自社のプラットフォームとホストにZoomの利用を無償で提供するとしており、ホストの収入維持をサポートしていく計画。オフラインのAirbnb 体験は4月30日まで一時休止となっているが、ゲストに新しいチャレンジの場を提供し、Airbnbコミュニティのメンバーと安全に交流し、好きなことを続ける機会を提供していきたいとしている。
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