ソフトバンクは4月2日、WeWorkと締結したMaster Transaction Agreement(MTA)において定められた状況にもとづき、ソフトバンク以外の株主に対して、2019年10月に発表していた30億ドルのWework株の公開買付を取りやめたと発表した。同社では、「必要な条件の一部や充足されなかったため」としている。
同社によると、2019年10月の公開買付に関する交渉において、WeWork、WeWorkのスペシャルコミッティー、アダム・ニューマン氏(WeWork共同創業者で現在はCEOを退任)、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、個別に交渉された特定の条件が充足されない場合、公開買付を完了させる必要がない旨に合意していたという。
4月1日までに充足されなかった特定の条件としてソフトバンクが挙げるのは下記の通り。
同社では、公開買付の取りやめによるWeWorkの運営や顧客、事業・戦略の5カ年計画、現在の従業員の大多数への影響はないとしている。リリースでは、「過去6カ月にわたって、WeWorkは極めて大きな事業進捗を成し遂げており、引き続き、コア事業である『Space as a service』の提供、メンバーシップサービスの拡充、顧客基盤の拡大、そしてエンド・ツー・エンド・ビジネス・ソリューション・プラットフォームへの転換という戦略を実行しています」とする。
子会社を含むソフトバンク、ソフトバンク・ビジョン・ファンドでは、これまでWeWorkに対して142.5億米ドル以上(2019年10月以降の54.5億米ドル含む)を出資。2019年末現在、WeWork の現金および現金コミットメント(プロフォーマ値)は44億米ドルに達する。
ソフトバンクでは、公開買付けを完了した場合、2020年3月期の連結損益計算書において、株式の取得価額と公正価値の差額を営業外損失として計上する見込みだったものの、公開買付けを見送ったことで損失は計上されなくなったという。
これに対しWeWork取締役会の特別委員会は、買付の取りやめを「失望」とし、訴訟を含めた法的措置を検討すると一部メディアが報じている。
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