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ドコモ・ベンチャーズは2020年度も「積極的に投資」--稲川社長が語る“正統派CVC”の強み - (page 2)

藤井涼 (編集部) 石田仁志2020年04月24日 08時00分
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日本はベンチャーを「大企業に組み込む」のが難しい

ーー日本企業が買収先のベンチャー企業といかにうまく連携して、効果を最大化できるかは重要ですね。

 米国で大企業がベンチャーを買収する際には、自分たちのビジネスを強くするために役立つ会社を吸収し、新規事業としてそのまま取り込む形が多いと思います。要は、足りないところを買ってくるというイメージですね。GoogleのYouTubeやAndroidの買収なんかも、そういうイメージが強い。いまでもやっぱり、YouTubeはYouTubeだし、Androidもそうで、もともとやっていたものが事業としてそのままGoogle(現Alphabet)に足された感じです。

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 一方で、日本だと大企業は本業以外の事業も幅広く手掛けているので、出資や買収の話を持っていくと「もうこっちで考えているから、俺の仕事を邪魔するな」という話になることがあります。米国では必要に応じて社員をレイオフできますが、日本は終身雇用で人を抱えると簡単に解雇することはできません。会社への所属意識も強く、会社の名前で団結するのが日本のカルチャーで、米国流のドラスティックな事業の見直しは難しい面もあります。

 さまざまな理由で日本ではベンチャーを大企業に”そのまま”組み込むのは難しいと言われますが、トレタやジモティとドコモの取り組みが発展できれば、日本型コラボレーションのモデルになるのではと思っていますが、まだ模索している段階です。

ーー日本の組織の良さを保ったまま、ベンチャーと共創することは難しいのでしょうか。

 いまは日本の大企業にも、スタートップにもどんどん優秀な人が新卒で入ってきます。大企業は、事業内容、活動エリア、社会的知名度など、これまでに蓄積した無形・有形のアセットがありますが、過去から続く積み上げや歴史があるからこそ、漸進的なイノベーションを志向しがちです。一方でスタートアップは、規模や知名度の観点で大企業と真っ向勝負するのは難しいので、当然戦い方も変えてきますし、大企業とは違う付加価値の創出を志向します。この違いを理解した上で、お互いの良さや特徴を”混ぜ合わせる”ことが大事だと思っています。

 ベンチャーに出資をし、大企業のネームバリューでバックアップすると、「NTTが出資したのか」と言われ、対外的な信用が増し、お金も貸してもらえて事業継続もできる。そういう組み合わせができるのではないかと考えていて、新しいアイデアや新しい価値観、新しい技術で社会を大企業とは違う時間軸、違うアプローチで変革しようとするスタートアップを世界中から見つけ出し、そのスタートアップの良きフォロワー(Follower)に早いタイミングでなっていこう、付き合っていこうというのが2020年度に掲げている「ファストフォロワー(Fast Follower)戦略」でもあります。

いまこそ「通信の出番」--2020年度も積極的に投資

ーー現在、新型コロナウイルスの感染が拡大し、倒産する企業なども増えています。2020年度はベンチャー投資も冷え込むのではないかと不安に感じているスタートアップも多いかと思いますが、NTTドコモ・ベンチャーズの投資スタンスに変化はありますか。

 感染症対策として、世界的に「ソーシャルディスタンシング(社会的隔離)」、つまり他人と距離を置きましょうという風潮になっていますが、だからこそ我々の出番、通信の出番ではないかと思っています。iモードやスマホの時と同じように、離れていても生活ができる“新しい暮らしの変化”が起こっているわけです。

 ワークライフバランスや働き方改革に取り組む際、ソーシャルディスタンシングに通信を使うことで、何か新しい働き方ができるのではないでしょうか。新しいことに取り組む際に不便が生じたときこそ、スタートアップの人たちとどうやったら課題を解決できるかを考えるチャンスだと思っています。

 なので、投資できるところがなくなったということはなく、今後もアイデア次第でお金は生み出せます。そんな会社に2020年度も積極的に投資をしていきたいですね。

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