東京都は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の動向をまとめたウェブサイトを3月4日より開設している。
サイトでは、PCR検査数実施人数、累積の陽性者数のうち、入院中、軽症・中等症、重症、死亡、退院者数をグラフなどで表示。また、居住地や年齢、性別といった患者属性、コールセンターへの相談件数、相談窓口の相談件数の推移のほか、通勤時間帯の分散の参考になる、都営地下鉄の利用者数の推移も一つのページにまとめられている。情報の一覧性に加え、リアルタイム性にも優れる。
元ヤフー代表取締役社長で現東京都副知事の宮坂学氏が公式サイトをTwitterで発表すると、数多くのユーザーから注目を集めた。IT活用で遅れを取っていると言われる日本の行政からすると、非常にモダンな構成になっており、サイトデザインからバックエンドの構築手法まで好意的なコメントが多数寄せられた。
このサイトは、Netlify上に構築されており、ソースコードはGitHub上で管理されている。行政の公式サイトとしては珍しく、Issueへのコメントやプルリクエスト(修正提案)が可能となっており、GitHubユーザーであれば誰でもサイト運営に参加できるオープンソースな取り組みとなっている。ユーザーフィードバックにも積極的で、3月6日には当初掲載されていなかったPCR検査数なども追加された。
東京都のデータを集めた公式サイトを急ぎ開設しました。今後はデータ公開をさらに進めて東京都オープンデータサイトから生データをダウンロードして利活用できるようにしていきます。ご活用ください。
— 宮坂学 Manabu Miyasaka (@miyasaka) March 3, 2020
東京都 新型コロナウイルス対策サイト - covid19 https://t.co/YwIojsQENy
さらに、3月8日には台湾のデジタル担当政務委員(日本の大臣に相当)のオードリー・タン氏が、言語選択画面の繁体字表記を「体よりも體を使うのが一般的」とするプルリクエストを送信。大臣が他国のサイト修正を申し入れるというのは通常あまり考えられないが、大臣が一人の参加者として修正提案を出す流れに、インターネットらしい透明性の高い動きとしてSNSでは多くのユーザーが感嘆の声を上げた。
タン氏は、12歳からPerlでプログラミングを学び、19歳でシリコンバレーでソフトウェア会社を起業。アップルやBenQの顧問を務めた実績もある。2016年10月に台湾の蔡英文政権下で35歳の若さで行政院に入閣。日本でも“天才IT大臣”として著名な人物で、新型コロナウイルス発生時には、いち早くデータのオープン化に着手。台湾内のマスク在庫量をひと目で把握できるマップを構築し、混乱を防いだ。なお、ソースコードは改変や再配布も可能なMITライセンスに準拠。政府のオープンデータ仕様にのっとっており、他の行政機関がコードを流用してサイトを構築することも可能と宮坂氏はツイートしている。今回のサイトの登場により、台湾が先行する行政のIT活用「GovTech」が、日本でも前進することを期待したい。
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