——クラウドファンディングで優先会員を募りましたが、状況はいかがでしたか。
クラウドファンディングは3回実施しましたが、いずれも目標値を達成しました。会員は20~40代が中心で、最高年齢は75歳です。同時に法人会員の募集も始めており、休暇中に旅先などで仕事をする「ワーケーション」やサテライトオフィスとしてなどの利用を想定します。
拠点も拡大中ですが、宮崎県日南市には初となる自社物件「ADDress 日南」をオープンしていますし、8月には京都市伏見区に関西初拠点を構えました。元は京都に通う学生などに学生寮として提供していた築60年の「もゝ山荘」で、こちらでは、元々もゝ山荘の住人であり現在も活動拠点としているADDressの事業開発エバンジェリストが「共同家守」という体制を設けています。
拠点は、元が民宿や別荘のほか、商店街にあったり、学生寮だったりと、ハードとしてもいろいろな体験ができるように空間作りを進めています。
——拠点の中には、一部をオープンスペースとして提供しているそうですが。
貸し出せばお金を生むことは確かですが、単体で利益を上げても周囲の施設や店舗にプラスの影響を与えられないので、無料スペースとして提供しています。空き家が増えて人口が減っている今、隣の店舗と競争しても疲弊するだけですよね。拠点ができることで地域の利用価値を上げることに重きを置いています。
——約半年に渡り、優先会員向けに運営してきて課題と感じる部分は。
拠点が全国に増えてきた関係で、交通費が高くなってしまうことです。飛行機は平日の昼間の乗車率があまり高くないので、そこを利用してもらうなど、やり方によっては交通費を抑える仕組みが作れると考えています。
地方で暮らすには車がないと不便という声もありますが、MaaSが普及してくれば、車も所有からサービスに変わる。二次交通の問題もMaaSで解決できる可能性がたかくなると見ています。
——今後の展開を教えて下さい。
年内に50拠点をオープンさせる予定で、そこは通過点と考えています。2030年を目処に20万拠点、会員数は100万人を目指していきたい。会員数が100万人を超えれば、地方か都会かという選択がなくなり、地方でも都会でも暮らす暮らし方が当たり前になります。
ADDressでは、自分の固定ベッド拠点以外に滞在するのは1拠点あたり連続最大7日間までという規定を設けていて、それは、より多くの人に移り変わる暮らしを楽しんでもらいたいという思いからです。例えばその土地が気に入り、長く住みたいという希望が出てくるのであれば、定住してもらえばいい。定住者を物件で囲い込みたいわけではなく、定住のきっかけを作るようなポジションでありたいと思っています。
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