Amazonは、「Alexa」と「Echo」シリーズのデバイスで市場を席巻したが、今やスマートホームの統合、プライバシー、直感的な音声機能などの問題に対処しようとしている。
シアトルで開催したAmazonのハードウェア発表イベントで、同社のデバイスおよびサービス担当バイスプレジデント、David Limp氏がEchoデバイスとAlexaの機能を大量に披露した。本当の製品がAlexaなのか、それともEchoシリーズのスピーカーやデバイスなのか、考えてしまっても無理はない。Alexaは、週に何十億回も顧客とやり取りしているのだ。
Amazonの戦略は比較的分かりやすい。Alexaをいたるところに拡散するために、手頃な価格で新機能や新しい使いみちのあるEchoデバイスを複数展開するのだ。現在、Alexaに対応するデバイスは8万5000種類ある。だが、触れておく価値のある微妙なニュアンスも幾つかある。
それをここで紹介しよう。
Limp氏は、Amazonが「スマートホームをよりシンプルにする」ことを考えていると語った。そのために、Amazonは「難しくなく、いじり回さずにすみ、ストレスのない」デバイスを定義する「Certified for Humans」プログラムを立ち上げた。また、シンプルなスマートホームプログラムの最初の製品群を紹介し、Alexaで操作できる3台で249ドル(約2万7000円)のeeroデュアルバンドメッシュルータも発表した。さらに、Alexaの「Routines」に「Hunches」と呼ぶ機能を統合した。これは、例えばスマートロックのバッテリーを交換する時期や、照明を消すこと、その他の家の管理に関する情報を適宜教えてくれるというものだ。Hunchesは既存のものだが、Routinesに統合されることで、スマートホームをより便利にするだろう。
同社は、「Amazon Sidewalk」も追加した。これは、既存の900MHz帯のスペクトルを使ってスマートホーム設定の範囲を拡大する低帯域幅ネットワークだ。
Alexaは、ニューラルテキスト音声変換技術により、より表現が豊かになり、人間を模倣できるようになり、2つの言語間で切り替えられるようになった。模倣能力で、Alexaは許可を得て著名人の声を使えるようになった。著名人の声は有料になる見込みだ。Alexaは、ユーザーの声から苛立ちを感知することもできる。子供向けバージョンのAlexaもある。
Amazonはまず、焦点を絞った製品群を紹介していたが、その後、実験的な製品を披露した。Alexaのためのマイクを搭載するメガネ「Echo Frames」。スマートリングの「Echo Loop」。迷子になった犬を見つけるための「Fetch」。そして、7色に光る29.99ドル(約3200円)のスマートランプ「Echo Glow」に、壁のコンセントに差す「Echo Flex」のようなシンプルな方向も示した。そうそう、249ドル(約2万7000円)のAlexa対応のオーブンレンジもあった。まだ幾つか抜けがあるかもしれない。
Limp氏は、Echoのウェイクワード検知の正確さが50%向上し、誤って起動することが減ったと語った。また、Alexaのプライバシー設定で、過去3カ月あるいは18カ月のデータを自動的に削除する設定が可能になり、人間によるレビューをオプトアウトできるようになる。Ring製品は、ユーザーが在宅の間は音声と動画を記録しない設定が可能になる。これらのプライバシー対策は主に批判への対応だが、追加された「Alexa、なぜそんなことをしたの?」というコマンドは、透明性を高める短い説明を提供する。これでAmazonはプライバシー問題に対処できただろうか? おそらく。はっきりしているのは、Amazonが透明性に向かって一歩踏み出しており、そのアプローチは気が利いているということだ。
「Echo Studio」は多くの音質改善を施されたハイエンドスピーカーだ。Echo StudioはAppleの「HomePod」やGoogleの「Google Home Max」に対するAmazonの答えであり、2万4980円で予約可能だ。Echo Studioはすべての4K対応Fire TV製品に対応するので、これらのテレビデバイスで直接「Dolby Atmos」サウンドをストリーミングできる。
時計付きの「Echo Dot」だろうがなんだろうが、Amazonがやっていることは、Alexaのベースを拡大することだ。Alexaは、ユーザーとのやり取りとデータが増えるにつれて賢くなっていく。Amazonは、音質を改善し、新しい布製のデザインで「Guest Connect」という新機能を搭載する「Echo」の新型も発表した。Guest Connectは、他人のEchoにログインし、自分の音楽をストリーミングできる機能だ。カメラを隠す物理的なカバーのついた「Echo Show 8」も発表した。「Echo Auto」はAlexaがプリインストールされていない自動車にAlexaを追加できる。
Amazonは、Alexa対応の無線イヤホン「Echo Buds」を発表した。Echo Budsはノイズキャンセル機能「Bose Active Noise」も搭載し、スマートフォンと連携もする。Echo Budsは、AmazonとAlexaにとって、初めてのトレーニングギアになるだろう。Echo BudsはAlexaアプリ経由でAlexaを使えるが、Appleの「Siri」とGoogleの「Googleアシスタント」も使える。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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