エブリーは7月17日、酒類・食品卸売業の伊藤忠食品を引受先とした25億円の第三者割当増資および、業務提携契約の締結を決定したと発表した。
今後両社は、小売業の店頭販促や送客施策のデジタル化の推進と、メーカー商品の認知から販促強化まで支援するサービスを展開するという。
同社は、2015年より「誰でも簡単においしく作れる」レシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」の運営を始め、現在2万5000本超のレシピを1900万人以上のユーザーに提供している。2018年からは、アプリやWebなどのオンラインサービスだけでなく、リアルな売場を持つ小売業の集客と販促を強化。またメーカー商品の訴求機会の創出を目的として、DELISH KITCHENのレシピ動画が放映できる店頭デジタルサイネージの導入を進めているほか、オフライン領域である小売・流通市場のニーズ拡大に伴い、営業基盤の体制強化にも注力している。
同社によると、食品流通業界では、少子高齢化による人手不足と労務コストの上昇や消費の多様化・成熟化に対応するため、これまでの販売手法に加えて、デジタル化によるオペレーションコストの最適化をはじめ、さまざまなデータの利活用を通じた新たな販売戦略の推進が求められているという。
また、5G/IoTの普及によって、動画メディアはスマートフォンだけでなく、デジタルサイネージへの配信も可能になっていることから、動画広告はオンラインだけでなくオフラインでも展開できるようになり、動画メディア市場が急拡大すると予想している。
こうした中、リアルな購買シーンにダイレクトに働きかけることができるメディアとして、店頭デジタルサイネージに注目が集まっている。動画メディアによる「認知」「興味・感心」の喚起に加え、店頭デジタルサイネージによる「比較・検討」「購買」といった販売促進を組み合わせることで、メーカーだけでなく小売業からもソリューション提供が期待されているという。
このような背景により、小売・流通とメーカーを集客・販促面で支援するため、同社と伊藤忠食品は業務提携契約を締結した。
同社のデジタル領域の知見および、コンテンツ力と、伊藤忠食品の中間流通業としてこれまで培ってきた小売業および、メーカーとの接点や売場提案力を掛け合わせ、次世代の技術を活かした販促提案を取引先へ向けて推進するという。
また、伊藤忠食品が2017年から開始しているE-POP事業については、DELISH KITCHENが展開する店頭デジタルサイネージを中心とした「リテールサポートプログラム」と連携を進める。リテールサポートプログラムは、売場と連動したレシピ動画の放映だけでなく、DELISH KITCHENのユーザーへ小売業のチラシ情報の発信、レシピカードデータの提供、効果検証のフィードバックなど売場の活性化につながるオプションを揃えている。
両社は、リテールサポートプログラムを用いて、小売業に向けた販売促進・送客施策のデジタル化の推進と、メーカーに向けた多面的な商品露出機会を提案する。また、これらの取組みだけでなく、デジタルテクノロジーを活用した小売業の収益拡大やメーカー商品の販促強化につながるサービスの充実を図り、オンラインとオフラインを融合した新しい買い物体験を届けるとしている。
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