マーベラスは、アミューズメント施設向けの新作アーケードゲーム「WACCA」(ワッカ)を、7月18日から稼働を開始する。
本作は“音ゲー”と呼ばれる音楽リズムゲーム。特徴は見た目でもインパクトのある、360度円形状高精度タッチパネルを配置した「ワッカコンソール」。画面の指示に従い、音楽にあわせてパネルをタッチしていく。スライド操作もあり、左右だけではなく、手前や奥へスライドするものもある。腕を大きく動かすことの操作性や、プレーヤーを包み込むような筐体構造で、爽快感と没入感が得られる新機軸のリズムゲームとうたう。
楽曲については、音楽ゲームユーザーから高い支持があるというハードコアテクノレーベル「HARDCORE TANO*C」(ハードコアタノシー)とコラボレーションし、同チームの楽曲を収録しているほか、ゲーム内容についても共同開発しているという。このほか、マーベラスが多くの作品を手掛ける「2.5次元ミュージカル」の楽曲も収録し、女性ファン層への訴求も図る。
マーベラスにおけるアミューズメント事業は、これまでIPを活用したキッズカードマシンを中心に展開。また2017年にプライズマシン「TRYPOD」(トライポッド)を投入している。リズムゲームは、これまでコンシューマ向けにリリースしたことはあるが、アミューズメント向けでは初めてとなる。
本作のプロデューサーを務める、マーベラス アミューズメント事業部 ソフト開発部 チーフプロデューサーの横山達也氏によれば、特徴的なワッカコンソールについて開発初期から計画されていたものではなく、コンソール部分だけを検討する期間がおよそ半年以上もあったという。そんななかで、わかりやすさと今までにない触り心地と操作感覚を出せるものとして、この形に決まったという。
ハードウェア面を担当した、アミューズメント事業部 副事業部長 兼 メカトロ開発部長の土手真悟氏によれば、ワッカコンソールのタッチパネルについては静電タッチ式で面積も広く、複雑な曲面にもなっているため、部材を扱う業者探しを含めて難しいところがあったという。
ワッカコンソールについても試行錯誤が続いたとしている。モニターの中心からノーツが四方八方に発射され、その延長線上にタッチパネルがあると感じられることを前提にしながらも、大きさや長さ、開き具合などは紙のモデルでいくつも試作したと振り返る。ワッカコンソールの高さについても、主にアーケード向けリズムゲームを好む10代後半から20代のプレーヤーを想定し、小柄な女性でも手が届きやすい配慮をしているという。
また、当初はタッチパネルの判定についても手前や奥といったものがない形ではあったが、筐体自体が奥行きのあるものであり、技術的にも可能となったことから取り入れ、手前や奥へのスライド操作ができるようになり、ゲームの奥深さが増したと説明する。
横山氏は「特にワッカコンソールの開き具合は、開きすぎるとタッチしにくく、逆に絞ると回すようにタッチすることが難しくなるため、何度も調整を繰り返した」とし、土手氏も「ここがアーケードゲームのキモとなるところ。画面や楽曲がいいというだけではなく、家庭用やスマホでは味わえないゲーム体験を提供するのであれば、ここをどう作るかが大事。かなり時間をかけた」と話す。
アーケード向けリズムゲームは長年親しまれているジャンルでもあり、現在でもさまざまなタイトルが各社からリリース。そのなかでWACCA、しいてはマーベラスとしても後発かつ新規参入となる。横山氏は「後発だからこそ、注目されているところはあると感じている」とし、そのなかでHARDCORE TANO*Cとのコラボレーションは大きかったという。
HARDCORE TANO*Cはリズムゲームのプレーヤーにとって認知度が大きく、コラボレーションはインパクトが大きいものになったと同時に、そこでリズムゲームのファンに訴求できたと説明。その上で、スマホ向けリズムゲームに親しんでいるプレーヤーにはアーケードゲームならではのゲーム体験、また2.5次元ミュージカルのファンに興味をもってもらえるような楽曲でアピールすると語る。こうしたユーザーにも配慮する形で、ゲームのルールに特殊なものは設けず、わかりやすくシンプルなものにしたという。
筆者も実際に体験したなかでは、適度にリズムゲームをプレイしていることもあり、ルールがわかりにくいといったつまずきはなかった。そしてワッカコンソールのタッチパネルをぐるっとスライドさせる感覚は心地よいもの。LEDによる光の演出もあるが、画面に集中しやすいような構造でもあるため、“入ってる”感覚で楽しむことができた。
すでに6月から7月にかけて全国4都市で先行体験会を実施。どの会場でも開始前の早朝から来場者が並んでいたなど、整理券対応を行い盛況かつ好評だったこともあり、手ごたえを感じているという。会場はゲームセンターではなく、アーケード街など街中や広場などで開催したこともあり、普段アーケードゲームに関心のないと思われる人が、SNSなどで反応していたと振り返る。
今後、楽曲の追加はもとより、ゲーム内で完結するイベントのほか、HARDCORE TANO*Cのライブと連動したイベント展開を計画。横山氏はさまざまな形で本作、ひいてはアーケード向けリズムゲームをアピールしていくとともに、アーケードゲームのマーベラスというブランドを確立するぐらいの柱として育てていきたいとした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス