米フロリダ州にある人口3万5000人の都市リビエラビーチは、3週間にわたって市のコンピューターシステムを“人質”に取られている。市議会は米国時間6月17日、問題を引き起こしたハッカーらに60万ドル(約6440万円)相当のビットコインを支払うことを全会一致で可決した。
市の職員が不正な電子メールを開いてしまったところ、瞬く間にランサムウェアが拡散してリビエラビーチのコンピューターネットワークがロックダウンされ、65ビットコインの身代金を支払うよう要求された。
The Palm Beach Post紙によると、電子メールは利用できず、緊急通報はコンピューターの記録と接続できず、水道施設を制御していたシステムはオフラインになったという。市議会はまず、94万1000ドル(約1億100万円)で新しいコンピューターを購入してこの問題を解決しようとしたが、このほど身代金の支払いに応じる決断を下した。
身代金は同市がかけていた保険で賄われるが、支払い後にハッカーらがロックされたファイルを復号するかどうかはまだ分からない。米国の捜査当局は多くの場合、ランサムウェアの被害に遭ってもハッカーには身代金を支払わないことを推奨している。当局が指摘するのは、ハッカーが約束を守る保証がないことや、支払いに応じることでサイバー犯罪者が味をしめ、再度攻撃を仕掛けてくる可能性があることだ。
とはいえ、市当局がランサムウェア攻撃を受けても支払いに応じない場合、最終的にはハッカーから当初要求された金額より高くつくこともある。アトランタは、2018年3月にランサムウェア攻撃を受けた際、ハッカーらに5万1000ドル(約547万円)相当のビットコインを要求された。同市は支払いを拒否したが、後にコストを見積もったところ1700万ドル(約18億2400万円)の損害となった。
Forrester Researchのアナリストらは、身代金の支払いについて、ファイルを取り戻せない企業にとっては「復旧を果たすための有効な選択肢」だと述べている。サイバーセキュリティー企業のMalwarebytesは4月に発表した報告書で、企業へのランサムウェア攻撃は2019年第1四半期、前年同期比で500%増加したと述べた。
米国で初めてランサムウェア攻撃が確認された2013年以降、169の州と地方自治体が被害を受けていると、Recorded Futureが5月に発表した報告書に記されている。
2018年11月、米司法省は、200以上の市の自治体や病院にランサム攻撃を仕掛けて3000万ドル(約32億円)以上の損害を与えた事件で、イランの複数のハッカーを告訴すると発表した。
公的機関がコンピューターから遮断されるわけにはいかない重要なサービスを提供しているため、市の自治体はランサムウェア攻撃の格好の標的となる。Mimecastが2019年に発表した報告書によると、73%の公的機関がランサムウェア攻撃による問題を経験している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス