ソフトバンクは11月9日、携帯電話の基地局を活用した映像コンテンツ配信サービス「スマート情報カメラ」を、2019年春から法人向けに提供を開始すると発表した。
スマート情報カメラは、ソフトバンクが運用する携帯電話基地局に設置した、ネットワークカメラからの映像を配信するIoTサービス。全国で20万箇所以上に設置している基地局に、ソニービジネスソリューション製のネットワークカメラを設置。リアルタイム映像のほか、クラウドに保存した過去48時間のアーカイブ映像を配信する。官公庁や報道機関、運輸事業者などに映像を配信することで、大雨や津波、火山噴火などの自然災害に対し、事前の準備や迅速な防災対応、報道に活用できるとしている。ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 COOの今井康之氏は、「防災関連のIoT機器をわれわれの通信機器と連動して活用し、自治体や企業と連携してこのサービスを作り上げていきたい」と語った。
提供サービスは、全国の基地局の中でユーザーが必要とする箇所に、ユーザー専用のカメラを設置できる「専有パターン」と、あらかじめ基地局に設置したカメラを、複数のユーザーが共有する「共有パターン」の2種類。専有パターンでは、フルHD映像を提供するほか、ブラウザ上での映像確認、カメラのズームやチルトなど操作が可能となる。映像ライセンスもユーザー側に与えられ、映像の再販などが可能となる。共有パターンでは、カメラの画角は固定となるほか、解像度も1280×720ピクセルとなるが、費用を抑えて利用できる。どちらのサービスでも、カメラ本体や回線などの設置や保守は、ソフトバンクが担当する。
ソフトバンク グローバル営業本部 エンタープライズ営業統括部 映像サービス部の土田正和氏は、北海道や秋田県などの地方に設置したカメラのリアルタイム映像を紹介した上で、「個々の事業者が地方に専用回線を設置するのは、費用や地権者との交渉などの面で負担が大きい。スマート情報カメラでは、通信会社であるソフトバンクが責任を持って回線を敷設しインフラを整える」と、その意義を語った。また、ソフトバンク グローバル営業本部 副本部長の小保方剛氏は、コストについて細かい数値は答えられないとしたものの、「基地局の整備などにあわせて工事を実施できるため、費用を抑えられる」と、携帯電話のインフラを持つソフトバンクのメリットを述べた。
スマート情報カメラは、当初は専有パターンから提供を開始する。小保方氏は、「いくつかの放送事業者や官公庁、鉄道事業者と交渉を進めている」とし、「まずは専有カメラをユーザーのリクエストで設置していく」と語った。共有パターンについては、準備が整い次第提供を開始するという。土田氏は「3年後を目処に、高品質かつ低価格なサービスをターゲット領域に定めて進めていく」と語った。またソフトバンクでは、映像を基に解析や予測が可能なIoTサービスの開発も視野に入れ、サービスを推進していくとした。
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