NTTドコモ関西支社は10月17日に開催した「2018-19冬春 新商品発表会」の中で、関西トピックスの1つとして災害への取り組みを紹介した。6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨、8月には複数の台風上陸と、立て続けに発生した大規模災害に同社がどのように対応したのかが説明された。
紹介された災害の取り組みは「水害対策」「停電対策」「エリア補完」の3つ。水害対策は基地局の物理的な嵩上げ(かさあげ)で、過去に災害を受けたエリアを中心に50局で対応している。過去には、2011年9月の台風12号によって紀伊半島大水害で29の基地局が、2013年の台風18号では桂川の氾濫で7局が水没被災したが、それ以上に被害エリアが広かった2018年の西日本豪雨では2局のみに抑えられた。それらも土砂崩れによるもので、嵩上げ対策の効果はあがっている。
停電対策では、蓄電池と燃料電池の両方でバッテリを72時間化し、加えてエンジンを活用した基地局の無停電化という3段階の補強で長時間の停電に対応している。
エリア補完とは、移動基地局車と可搬型衛星基地局を利用して暫定基地局を開設したり、故障があった基地局をカバーしたりすることで、大阪府北部地震の発生時もサービスに影響なく通信が確保された。関西空港が大きな被害を受けた台風21号では、中ゾーンをカバーする基地局を初めて稼働するほど被害が大きかったが、最大の影響があった9月5日朝にかけて96市町村内一部の基地局を救済し、サービスを維持し続けた。
さらに、大阪北部地震の際のサービス利用状況をモバイル空間統計で分析したグラフを公開。地震が発生した6月18日と平常時を比較し、大阪市の中心エリアより周辺での利用が増えていたことが紹介された。データを公開した理由について、関西支社長の高原幸一氏は「利用状況から人口変動が可視化でき、それを元に防災計画を立てるなどに役立ててほしい」と説明した。
さらに高原氏は「今年は未曾有の災害が立て続けに起こり、以後も同様かそれ以上の災害が起こらないとは限らない。今後もさらに備えを強化していく」と語る。具体的には(1)移動電源車の数を増やす、(2)燃料電池の導入といった新技術での対応、(3)インフラ企業などとの連携強化、の3点を挙げた。11月21日には、陸上自衛隊や日本赤十字社らとの合同防災訓練も予定しており、地域全体での防災に力を入れていくとしている。
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