Kotozna(ことつな、旧ジャクール)は9月18日、インバウンド向けにSNSを使った多言語同時翻訳チャットサービス「Kotozna chat」を開始した。リアルタイム翻訳されるので、異なる言語同士でもコミュニケーションできるサービスだ。Kotoznaは、1994年にヘルシーネット(後のケンコーコム)を創業し、20年間にわたって代表を務めた後藤玄利氏と、写真SNSアプリ「Snapee」で知られたマインドパレットの創業者である神尾隆晶氏が2016年10月に創業したQRコードによるインバウンド観光向け多言語翻訳を行う企業だ。これまで九州をを中心に3000以上の飲食店や宿泊施設、観光地などにスマートフォン翻訳サービス「Trip'nScan」を提供してきた。
Kotozna chatは、専用のアプリをインストールしなくてもFacebook MessengerやLINE、WeChat、Kakao Talkなど、世界中にある各国主要SNS(チャット)サービスをブリッジして、異なるSNS間で翻訳サービスを通じてリアルタイムに翻訳しながら相互チャットできるサービスだ。サービスは個人利用は無償で利用できるが、将来的に企業利用では有償の提供を考えている。翻訳サービスのエンジンはGoogle翻訳を利用しており、100以上の言語に対応している。
利用するには、まず公式サイトなどに表示、掲示してあるQRコードをスマートフォンでスキャンしてKotozna chatの公式アカウントをフォローした後、自分で利用する言語とSNS、ID(アカウント名)を選択する。すると、選択したSNS内で自分の固有QRコードが発行されるので、それをチャットしたい相手にスキャンしてもらい、同じ手順を踏めば、同時翻訳しながらの異なるSNS間でのチャットが開始できる。現在は1対1のチャットしかできないが、今後はグループチャットにも対応する予定だ。また、チャット画面で会話を終了するときには「@bye」、自分の言語を切り替えるときには「@lang」、IDを変更するときには「@id」とコマンドを入力すれば可能で、これらのコマンドを呼び出すには「@help」を入力するが、これも今後はボタンをタップしてできるようにする。
異なるSNS間でチャットができる仕組みは、各SNSサービスでKotoznaは公式アカウントを開設しており、その公式アカウントを通じてやりとりしている形となる。送られたメッセージはそれぞれの公式アカウントを通じてGoogle翻訳に送られ、それが相手にも届くわけだ。QRコードをスキャンして手続きを進める際に、標準でメニューに表示される言語と利用しているであろうSNSは、スマートフォンのブラウザで利用している言語設定から導き出している。
また、宿泊施設や飲食店をはじめとした施設での利用を促すために、希望すれば無料でQRコードが表示されたPOPも配布される。将来的な収益源としては、個人利用では主に利用場所で効果がありそうなローカル広告を考えており、ホテルや旅行案内所などをターゲットにした企業向けには言葉の壁を越えて生産性が向上し、売上が向上できるような業種別のソリューションを有償で提供する計画だ。
代表取締役である後藤氏は「訪日観光客は2020年度の目標である4000万人が現実的になってきたが、施設などのスタッフとコミュニケーションできない“言葉の壁”がいまだ解決できない問題になっています。これを克服するために翻訳やSNSに注目してきましたが、SNSは国や個人の趣向により利用するサービスが複数あることが課題でした。そのため、異なるSNS同士でも母国語でコミュニケーションできるサービスを開発したのです」と語った。
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