メルカリは8月9日、2018年度6月期の連結決算を発表した。売上高は357億6500万円で前年度比62.0%増。営業損失は44億2200万円、経常損失は47億4100万円。当期純損失は70億4100万円と、前年度の純損失42億700万円から赤字が膨らんだ。
メルカリ内で売買された商品などの総取扱高(GMV)は、3704億円と前年度比で48.1%増加。そのうち、国内市場ではGMVが3468億円(同49.5%増)、売上高は334億円(同57.3%)とユーザー基盤の拡大、同社の強みである女性向けファッションカテゴリ以外の強化を通じて堅調に推移しているという。また、グローバルのGMVは2億1200万ドル(同27.2%増)となった。
四半期ごとのGMVでは、メインで取引されているレディスファッションが季節性をともなうため、四半期ごとのブレはあるものの、4Q単体でも1000億円を超えているという。ただし、売り手と買い手のバランスが必要であり、広告宣伝費に投資しつつも積極的なサービスへの誘導はせず、様子を見ながら徐々に伸ばしていきたいという。また、売り手のハードルを下げるため、本のバーコードから情報を取り込む機能や、スマートフォンの売却専用サービス、AI技術を用いた商品写真からの品名自動入力などテクノロジを活用。他のカテゴリ強化も進める。
同社代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏は、「メルカリのゴールは中長期での大きな成長」とし、MAU(月間アクティブユーザー数)やGMVなどの成長率をKPIに設定。引き続き投資フェーズにあるとして、エンジニアなどグローバルでの人材獲得、AIやブロックチェーンといったテクノロジの研究・開発、米国や英国などの海外展開の3分野に注力するという。投資強化に伴い損失額は膨らんでいるものの、山田氏は「まだ短期で結果を求めるフェーズではなく、規律を持って投資を実行していく」と述べた。こうした背景により、黒字化のめどについては明言を避けた。
成長戦略として、海外戦略以外にも国内市場の継続的な拡大と中長期でのエコシステム構築を挙げる。国内市場は安定期に入ったものの、同社の強みであるレディスファッション以外のカテゴリなどでも高いポテンシャルを持っており、ユーザーが若年層から中高年に拡大する中で、釣りやスポーツ用品も伸びているほか、車の販売も徐々に増えているなど、今後もARPUの向上が見込めるという。また、メルカリIDのウォレット機能を外部パートナーに提供し、メルカリで売買した売上金や別途チャージした残高をオンライン・オフラインで使うためのエコシステムを構築。メルカリIDに蓄積された取引情報や信用情報、売上高など活用した新サービスの構築を進めるという。
なお、新規事業などを手掛けるメルカリ子会社のソウゾウでは、即時買取サービス「メルカリNOW」をはじめ、ブランド品に特化した「メルカリメゾンズ」、レッスンマッチングサービス「teacha」をクローズしている。個別事業については言及しなかったものの、山田氏は「スタートアップの経験からすると、新規事業はうまくいかないものという認識がある。メルカリと同じぐらいの成長スピードを目指す中で、それに時間がかかるようであればメルカリに注力したほうが良い。普通の会社であれば好調としているものでもシビアに判断している」とし、「新しいチャンスがあればクイックに参入するが、クイックに撤退することも続けていきたい」と述べた。
そのほか、メルカリが保有する関係会社株式のうち、実質価格が著しく下落した子会社株式について減損処理を実施。2018年6月期第4四半期の個別決算において、114億5200万円の特別損失を計上した。ただし、同損失は連結決算上消去されるため、連結損益への影響はないとしている。特別損失の詳細については非開示としているものの、海外と国内子会社に関連する株式の評価損と関係したものだという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス