楽天は6月14日、MVNOとして展開するモバイル通信サービス「楽天モバイル」の戦略説明会を実施。夏商戦に向けた新商品やサービスを発表した。
楽天モバイルが今回発表したのは、ファーウェイ製のスマートフォン「HUAWEI P20」と「HUAWEI P20 lite」の2機種。いずれも、6月11日にファーウェイがSIMフリースマートフォンとして国内に投入すると発表したもので、それを楽天モバイルが取り扱う形となる。価格はそれぞれ6万9800円、3万1980円で、同日より販売を開始した。
説明会にはゲストとして、ファーウェイのデバイス日本・韓国リージョン プレジデントである呉波氏が登場。呉氏は2017年に撮影された写真の80%がスマートフォンによるものであったことから、「映像を記録する重要な手段になっている」と、スマートフォンにおけるカメラの重要性について説明する。
その上で呉氏は、3月27にフランス・パリでP20シリーズのフラッグシップモデルを発表して以降、2カ月半での出荷台数が全世界で600万台に達し、81%の成長を果たしたと、好調であることをアピール。さらに「楽天はファーウェイにとって重要なビジネスパートナー」だと話し、両社の関係が良好であることを示した。
一方サービスに関しては、楽天モバイルの料金プラン「スーパーホーダイ」のリニューアルを発表した。スーパーホーダイは特典に応じて、1〜3年の最低利用期間を選んで契約できる料金プランだが、その月の通信容量を超過した後も1Mbpsでの通信が可能なこと、最低利用期間経過後の自動更新がないこと、契約年数によって通信容量が変化しないことなどが好評とのこと。楽天の執行役員 楽天モバイル事業の大尾嘉宏人氏は、「楽天モバイルの通話プランの中でも約70%のシェアがある」と話す。
そこで楽天モバイルでは、この料金プランをさらに強化するべく、6月14日に刷新した。大きく変わった要素の1つは、割引システムの変更である。新たに、楽天会員が契約した場合は月額500円値引きされる「楽天割」が適用されるほか、契約時の最低利用期間が2年以上の場合は月額500円、3年にした場合は月額1000円の値引きが受けられる「長期割」が適用される。
いずれの割引も2年間の適用となるため、最も安い通信容量2Gバイトの「プランS」に適用した場合、2年間は月額1480円で利用可能となる。さらに楽天のダイヤモンド会員が契約した場合、追加で1年間、月額500円の値引きが受けられることから、すべての割引を適用すると、プランSでは1年間、980円で利用できる計算となる。
2つ目の要素は大容量プランの新設である。従来のスーパーホーダイは、通信容量が14Gバイトの「プランL」(月額5980円)が最も大容量であったが、新たに通信容量が24Gバイトの「プランLL」(月額6980円)が新設される。こちらも割引の適用によって2年間は月額5480円、ダイヤモンド会員であれば1年間は4980円で利用できるとのことだ。
そして3つ目は、かけ放題の時間延長だ。スーパーホーダイには5分間の定額通話が可能な「楽天でんわ5分かけ放題 by 楽天モバイル」がセットされているが、これを通話時間を10分に延長した「楽天でんわ10分かけ放題 by 楽天モバイル」に変更するとのこと。こちらは新規契約者だけでなく、従来のスーパーホーダイ契約者も対象になるという。
なお、今回のリニューアルに合わせる形で、スーパーホーダイの契約解除料も一律9800円に変更するとのこと。最低利用期間が1年を選んでも、3年を選んでも、利用期間内の解除料は9800円となる。大尾嘉氏はそうしたスーパーホーダイの新たな特徴を、ソフトバンクのワイモバイルブランドや、UQコミュニケーションズの「UQ mobile」の料金プランと、フリップを用いて比較。スーパーホーダイの優位性をアピールしていた。
またスーパーホーダイのリニューアルと同時に、2回線目以降の契約に適用される特典を拡充した「プラス割キャンペーン」を実施。2回線目からは事務手数料と3カ月間の月額基本料が0円になるほか、スマートフォンとのセットで契約した場合、1万円以下の商品であれば1円、それを超える場合は1万円引きで端末を購入できるとのことだ。
さらに大尾嘉氏は、6月14日より実施する「楽天スーパーセール」で、楽天モバイルに関しても16機種、約9400台を半額以下で販売すると公表。最大97%引きの商品もあるという。加えて楽天の「SPUプログラム」に楽天モバイルが組み込まれることなどをアピールし、「乗り換えや検討中の人にも満足してもらえるプランを提供できるよう努めたい」と意欲を示した。
一方で記者からは、楽天がキャリアとして携帯電話事業への参入を発表したことと、今回の施策の関連性に関する質問が相次いだ。楽天は2019年にキャリアとして参入するまで、楽天モバイルの契約数を300万超にすることを目標としているが、大尾嘉氏は今回の施策で「300万契約は野心的な目標だと思うが、できるんじゃないか。いきたいと思っている」と答えている。
また楽天は、キャリアとしてサービスを開始した後、現在の楽天モバイルの顧客を順次そちらに移行していく考えを示しているが、今回のスーパーホーダイの最低利用期間は最大で3年となっているため、ユーザー視点では不安を抱く部分もある。この点について大尾嘉氏は、キャリアとしてサービスを開始した後も、現在のサービスを並行して続けていくことを強調。「楽天はキャリアとして良質なネットワークを作っていくし、楽天モバイルの顧客に移行してもらえたらいいなと思っている。ただ今の顧客に対して不利なことはしないし、移行にはメリットがあるようにする」と話した。
さらに、楽天の携帯電話事業参入によって、現在ネットワークを借りているNTTドコモを含むNTTグループとの間に溝が生まれているとの一部報道もあり、将来的にネットワークが借り、現在の楽天モバイルの事業続けられるのかという懸念も出てきている。だが大尾嘉氏は、ネットワークを借り続けることを担保し、3年後も継続して現在のサービスが利用できることを明確に示した。
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