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人型ロボットが実践する人にはできない“おもてなし”--サイバーら3者が実証実験

加納恵 (編集部)2018年04月19日 10時45分
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 サイバーエージェント、大阪大学、東急不動産ホールディングスの3者は4月18日、「ホテルにおける人型ロボットを活用した実証実験」について共同記者会見を開催した。


人が近づいてくることを検知して話しかけてくる

 サイバーエージェントは、2017年4月1日に大阪大学基礎工学研究科教授の石黒浩氏と産学連携し、先端知能システム共同研究講座を発足。今回の実証実験は、その共同研究講座のプロジェクトとして進めているもので、東急不動産ホールディングスは、実験場所として、東京都港区にあるホテル「東急ステイ高輪」を提供した。

 東急ステイ高輪は、地上10階建て、総客室数177部屋を持つ都市型ホテル。泉岳寺駅から徒歩1分の場所に位置し、羽田空港と品川駅に直接アクセスが可能だ。中長期滞在もできるため、海外からの宿泊客も多いという。

 実証実験では、卓上型対話ロボットの「CommU(コミュー)」と 「Sota(ソータ)」をエレベーター脇と廊下に設置。通りかかる人に挨拶したり、話しかけたりすることで、新たな“おもてなし”の形を探った。


「CommU」と「Sota」

 エレベーター脇にはCommUとSotaを2体、廊下にはSotaを1体設置。ある程度の待ち時間が予想されるエレベーター脇では、2体が対話しながら宿泊客に話しかけることで、コミュニケーションを促し、廊下では挨拶程度の軽いふれあいを狙った。

 3月19〜30日に第1回を検証し、4月16~27日に第2回を実験中。CommUとSotaの近くに人が近づいてきたことを認識する、頭部3次元位置認識(デプスセンサ)などのセンサを設置。各種センサとロボットは無線LANで接続し、人を認識すると用意していたシナリオから適切なものを抽出し、ロボットが発話、動作することで、人との対話が成立する仕組み。シナリオは合計18パターンを用意し、おすすめのレストラン紹介や挨拶などを声掛けを実施した。


今後の展開
ロボット学者/大阪大学教授の石黒浩氏
ロボット学者/大阪大学教授の石黒浩氏

 ロボット学者で大阪大学教授の石黒浩氏はホテルのロボットには、ホテル周辺のローカルなスポット情報などを教えてくれる「プライベートコンシェルジュ」、宿泊客のプライバシーを守りながら会話をする「プライバシーコミュニケーション」、1人で部屋にいても寂しくないような空間づくりをする「プライベートコンファタビリティ」の3つがポイントと説く。

 なかでも「プライバシーコミュニケーションはロボットにしかできないサービス。人間から声をかけられると気まずいようなシーンでもロボットは存在感が人間ほど強くないため、プライバシーを侵害されたという意識をあまり持たずにコミュニケーションができる」(石黒氏)と強調する。

 第1回目の実験でアンケートを実施したところ「ロボットは押し付けがましくない」「接することで機嫌がよくなった」など、ポジティブな効果が現れたとのこと。また、廊下に設置したSotaは高評価を得ていたという。「最も面白かったのはホテルのスタッフにいい影響が出たこと。挨拶されることを喜んでくれたスタッフが多い」(石黒氏)と分析した。


アンケート結果

広告におけるスマートフォンの次のフェーズはロボット?

サイバーエージェント 上級執行役員の内藤貴仁氏
サイバーエージェント 上級執行役員の内藤貴仁氏

 このプロジェクトでは、ロボットによるおもてなしの形を探るとともに、ホテルという場に適した広告媒体の提供についても検証を重ねていく。「ホテルは現在広告が入りづらい環境にあるが、宿泊客が欲する情報であったり、適した内容であれば、広告提供の場としても活用できるはず。ただ、人間による広告などの情報提供はプレッシャーと感じやすいため、ロボットを間に立てることで、ホテルという場に合致した広告提供を探りたい」(石黒氏)と話す。

 サイバーエージェント 上級執行役員の内藤貴仁氏は「サイバーエージェントによる広告ビジネスは、以前はPCを使う時だけが広告に接してもらうタイミングだったが、スマートフォンの登場により、広告に接するタイミングが飛躍的に伸びた。その次のフェーズが、ロボット、IoTによる広告の提案だと思っている。この領域における広告のビジネスモデルを構築したい」と今後の広告ビジネスにおける方針を示した。

東急不動産 R&Dセンター取締役副センター長の山内智孝氏
東急不動産 R&Dセンター取締役副センター長の山内智孝氏

 サービス業における人材不足やインバウンドの増加を背景に、ロボットによる業務効率化や自動化も見据える。東急不動産 R&Dセンター取締役副センター長の山内智孝氏は「人的サービスの至らない点をロボットに助けられることで、ホスピタリティを高め、おもてなしが進化していく」ことに期待を寄せる。

 石黒氏は「人の存在感を感じながら気軽に話せる形であること。小さくてもロボットの存在感があることは非常に重要」と人型ロボットにこだわる。今回のプロジェクトは開発ロードマップをレベル4まで掲げており、現段階は「レベル1.5くらい。行動を認識し、文脈が理解できる程度。ただレベル3に到達するのはそんなに遠い未来ではなく、2年程度あれば実現できると思う」と今後の見通しを話した。


開発ロードマップ。レベル1~4の概要

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