Ernst&Youngが先ごろ発表した報告書によると、サイバー犯罪者は新規仮想通貨公開(ICO:Initial Coin Offerings)をターゲットにすることで、4億ドル(約440億円)近くの仮想通貨を不正に獲得したという。
報告書では、ICOによる調達額の10%以上がサイバー攻撃により失われたとしている。2015年から2017年の間に調達された資金は37億ドルであり、およそ4億ドルが失われたことになる。
ここ数年、投資家はICOやトークンセールに注目してきている。ICOやトークンセールは仮想通貨やブロックチェーン関連のプロジェクトや企業に投資するチャンスであり、長期的に見て有利だと考えられてきたからだ。中でもICOはその潜在リスクにもかかわらず、ブロックチェーンプロジェクトへのベンチャーキャピタル投資を上回っていた。
このようにICOやトークンセールは投資家の注目を集めているが、不正に利益を得ようとする攻撃者の存在も危惧されている。
2017年には、EthereumのマーケットプレイスであるEnigmaがICOに向けた準備をしていた中、フィッシング攻撃によって投資家らが約50万ドルをだまし取られた。また、CoinDash、Veritaserum、EtherPartyによる各ICOも同年にサイバー攻撃を受けた。
Ernst&Youngは、2015年から2017年までの計372件におよぶICOについてデータを集めて調査した。
ハッカーは1カ月あたり最大150万ドルの利益をICOにより得ているという。攻撃者はICOやトークンセールの「人気の高さ、中央機関がないこと、ブロックチェーントランザクションの不可逆性、情報の氾濫に惹かれている」とErnst&Youngは分析している。
「プロジェクトの創設者は投資家を集めることに必死になっており、セキュリティは優先順位になっていないことが多い」とレポートには書かれている。「ハッカーはこれをうまく活用しており、ICOの規模が大きく注目度が高いほど、攻撃者を惹きつける」という。
最も多い攻撃手法は、イベント時にウォレットのアドレスを差し替えるというCoinDashの時に用いられた手法だ。ハッカーは秘密鍵に不正アクセスし、ウォレットと取引所から資金を盗んだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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